経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」は平成25年度までは上昇していたが、26年度以降は下降している。主な要因は浜中地区の供用開始に伴う維持管理費の増加である。現在の経営状況としては、使用料により汚水処理に係る維持管理費の全額を賄えているものの、公債費については全体の1割程度にとどまっており、残りは一般会計繰入金に依存している。平成26年度に「汚水処理原価」が増加し、「経費回収率」が下降した要因は、浜中地区の供用開始が影響しており、施設管理費が増加したその一方で、それに見合う有収水量と使用料が確保できなかったことによるものである。平成27年度は水洗化率の上昇により使用料が増加したため、収益的収支に係る一般会計繰入金が減少したことで、「収益的収支比率」と「経費回収率」がわずかに下降し、「汚水処理原価」がわずかに増加している。「施設利用率」は50%台で、類似団体と比較してやや下回っており、施設能力に余裕がある状況となっている。要因としては「水洗化率」が低いことと人口減少により計画よりも汚水量が増加しないことが考えられる。「水洗化率」は平成26年度に下降しているが、浜中地区の供用開始に伴い未水洗化人口が増えたことによるものである。平成27年度は当該地区の水洗化人口が増えたことで、平成24年度とほぼ同率になるまでに回復している。なお、その分を勘案しても類似団体よりも低い傾向にあるため、水洗化率の向上対策が必要である。
老朽化の状況について
昭和52年度より事業に着手しており、23処理施設で生活排水処理を行っている。現在、人口減少による施設稼働率の低下や水処理機能が低下しており、管路施設、機械・電気設備においては、劣化、故障により維持管理費が増加傾向である。そのため、将来にわたり持続可能な施設とするために処理区の統廃合、処理施設や管路施設の補修、機械・電気設備の更新を行い施設の延命化を図るための機能強化対策事業を実施している。
全体総括
今後も費用の削減と水洗化の促進による使用料の確保に努めなければならないが、それでも公債費のほとんどは一般会計繰入金に依存しなければならない状況が続くと見込まれる。平成29年度から地方公営企業法を適用する予定であるが、事業単位ではなく下水道事業全体でのさらなる経営改善に努めるため、法適用企業として策定する経営戦略に、施設利用率の改善につながる戦略的要素をどれだけ盛り込んで行くことができるのかが重要になってくる。