経営の健全性・効率性について
・収益的収支比率平成14年度から平成31年度までの期間、下水道区域外の浄化槽設置希望者に対し整備を実施しているため、収入については基数が増加する平成31年度まで右肩上がりでの推移が予測される。しかし、基数の増加に伴い、軽微な修繕の増加、また設置に係る起債借入による元利償還金の増加により、費用の増加が収入の増加を上回ってきている。年度毎の修繕費の大小の関係はあるが、整備完了までは横ばいか緩やかに比率が減少していくことが予想される。整備事業終了後においても、比率が100%に近づく見込みがない場合については、料金改定を検討する必要がある。・企業債残高対事業規模比率平成31年まで毎年度15基を上限に起債借入により整備を継続してきたが、設置希望の実態に合わせて平成28年度から毎年度10基の上限へ変更した。設置基数上限の減少に伴い起債借入額が減少すること、また浄化槽が比較的新しく、更新事業の実施は先であるため、現状の水準をほぼ横ばいで推移することが想定される。現在の時点で、類似団体平均を大きく下回っており、収入規模に見合う無理のない借入額であることが分析できる。・経費回収率100%には至っていないが、未収金がほとんどないこともあり、類似団体平均を大きく上回っている。今後は、類似団体平均を注視しつつ、更なる経費の削減に努め、必要に応じて料金改定も検討していく。・汚水処理原価どの年度においても類似団体平均を下回っており、効率的な汚水処理が実施されている。・施設利用率使用者の転出・死亡等の理由により、休止中の浄化槽があること、転出に伴い設置した人槽に見合う居住人数とかけ離れてしまうこと等の理由から利用率について少しづつ減少している。類似団体平均を上回っている状況ではあるが、休止中の浄化槽に関しては、使用再開の見込みもなく対応に苦慮している。・水洗化率浄化槽設置済で水洗便所を設置していない使用者はおらず、100%の状況となっており、類似団体平均を大きく上回っている。
老朽化の状況について
・浄化槽の耐用年数について、躯体で30年以上、機器設備類で、7~15年程度とされている。本村の浄化槽設置事業は平成14年度からであり、古くても設置から14年程度と比較的新しい。機器の設備類については、保守点検時に不具合があれば随時交換等を行っている。実際に50年近く使用されている実績もあることから、今後30年程度は使用できると考えられる。
全体総括
本村の個別排水処理施設整備事業計画において、平成31年度末で整備事業終了を迎えるが、未整備の住宅も複数あることから事業継続することで調整している。また、特別会計による管理のため減価償却等の支出が見込まれておらず、将来の更新費用を含めた使用料水準について正確に把握できていない現状があることから下水道事業と併せて、事業の経営状況を正確に把握することを目標に、平成30年度までに全施設の資産台帳を整備し、総務省通知による公営企業法適用を行い、施設老朽化対策と会計の両面で実施可能な計画として再度見直しを行い、補助事業による更新事業採択を見据え、持続可能な下水道事業になるよう取り進める。また併せて下水道事業の高資本対策分交付税措置を講じるための要件となる経営戦略について、平成30年度中の策定を目指し、将来にわたり安定的に事業を継続できるように努める。