経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、単年度の収支が黒字であることを示す100%以上であることが必要とされています。当該指標は、料金収入や一般会計からの繰入金等の総収入で、総費用(人件費+動力費+薬品費+維持管理費等)に地方債償還金(借金)を加えた費用をどの程度補っているかを示しています。本市は、過去4年は60%台で推移し平成28年度は、50%台に落ち込んでいます。その年度には、ポンプ場の新設及び浄化センター内汚泥施設の増設が始まりました。また、毎年管渠の整備を行っていますのでこのような状態は当面続きます。これを改善するには、水洗化の更なる向上、使用料の定期的な改定が必要です。④企業債残高対事業規模比率は、使用料収入に対する地方債残高(借金)の割合の事で地方債残高の規模を表しています。平均値と比較して本市は、著しく高規模で推移しています。これは、整備継続中であるので当面続きます。解消するには、定期的な使用料の改定が必要です。⑤経費回収率は、使用料で回収すべき経費(維持管理費等)を、どの程度使用料で補っているかを表していて、100%以上であることが求められています。本市は、各年度で平均値より著しく低いことがわかります。これは、汚水処理に係る費用が使用料以外の収入(一般会計からの繰入=税金)により補われていることがわかります。要因としては、供用開始から16年経過しているにも関わらず、水洗化率が55%程度(全国平均では約82%。経営努力として85%程度)、使用料収入が低い(全国人口規模別平均では約2,600円/20㎥・月。)ことが上げられます。これを解消するには、適正な使用料収入(必要最低限の経営努力として、3,000円/20㎥・月を求められています)の確保、汚水処理費(維持管理費+地方債等利息+地方債償還金)の削減が必要となります。⑥汚水処理原価は、有収水量(使用料となる汚水量)1㎥当たりの汚水を処理した費用で、資本費(地方債元利償還額+地方債取扱諸費等)と維持管理費を含めた汚水処理に係る指標のことで、本市は、平成25年度から高くなっています。原因は中継ポンプ場の新設、浄化センター内汚泥施設の増設があります。下水道は事業は、流入汚水量や発生汚泥量の増加により先行投資を行いますので過大施設とは言い切れません。⑦施設利用率は、施設や設備が遊休施設となっていないか施設の利用状況や適正規模を判断する指標で、本市は、平均値と比較して低いが年々微増しています。更なる水洗化率を進め利用効率を高め、有収水量の増加を図り使用料収入を確保し、投下した資本を回収する必要があります。⑧水洗化率は、現在処理区域内人口のうち、実際に水洗化便所を設置して汚水を処理している人口の割合のことで、一般的に100%となっていることが望ましいとされています。本市は、50%台で推移しています。原因として毎年管渠整備を行い供用開始地区が増加するため、水洗化率が伸びないものと思量します。啓発活動を行っていますが、供用開始区域内の市民の水洗化への改造義務の意識も低いように思われます。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、当該年度に更新した管渠延長の割合を表しています。当該指標は、管渠の更新ペースや状況を把握することが出来ます。
全体総括
本市の公共下水道事業の経営の健全性・効率性については、供用開始から16年経過していますが使用料の改定がないまま現在に至っています。下水道事業は、事業の性質上先行投資を行います。今現在も建設中です。その為、経費回収率が著しく低く汚水処理原価は平均値と比較すると1.6倍強有ります。収益的収支、企業債残高対事業規模が一向に減額しません。原因については、分析欄に各々記載していますが、経営を圧迫していることがこれらより見て取れます。管渠整備に対して水洗化が追いついていません。施設利用率が意外と高いのは、水洗化率が約54%にもかかわらず大口需要家が影響しているように思われます。水洗化人口を増加させるため、無利子無利息の融資、接続補助を実施していますが、伸び悩んでいます。下水道施設は、文化のバロメーターとも言われ、快適な生活環境の向上や公共用水域の水質保全をも、目的としています。その施設が利用されないと言うことは、観光立市都市を目指す本市としては残念な思いです。下水道経営には、使用料の定期的な改定が必要です。その為には、市民の下水道への理解が不可欠です。又行政は、経費の抑制を図り、計画変更、整備方法についても再検討を行う必要が経営ではあるように思われます。