経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、料金収入や一般会計からの繰入金等の総収入で、維持管理費や地方債償還金(借金)等の費用をどの程度補っているかを表します。収益的収支比率については、単年度収支が100%以上を黒字とします。本市の場合、過去5年間60%台を推移していますが、事業を毎年行っていますので、このような状態が当分の間継続します。この状態を改善するためには使用料の定期的な改定が求められます。④企業債残高対事業規模比率は、下水道料金に対する地方債残高(借金)の割合のことで地方債残高の規模を表しています。これは、本市の事業が供用開始から15年しか経過しておらず建設の途上であるので当分の間継続します。平成27年度末の整備率は、全体計画に対して31%程です。⑤経費回収率は、下水道料金で回収すべき経費(維持管理費等)を、どの程度下水道料金で補っているかを表しています。100%以上が必要経費を回収していて正常な数値です。本市は、30%程なので使用料でほとんど賄い切れていません。接続率が低いため有収水量を確保出きないうえ、適正な使用量料金が設定されていないことに原因があると思われます。⑥汚水処理原価は、有収水量(下水道料金となる下水量)1㎥当たりにどれだけ費用がかかっているかを表しており平均値では平成27年度を除いてほぼ変わらないのは類似団体区分が変わった為と思われますが、施設利用率が平均値と比較して低いのが気になります。⑦施設利用率は、1日汚水処理能力(施設が1日に処理できる処理量)に対する1日平均汚水流入量の割合のことで、施設の利用状況や適正規模を判断します。本市の場合、平均値と比較して低いように思われます。計画処理量に達するよう末端管渠の整備が急がれます。⑧水洗化率は、現在処理区域内人口の内実際に水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合のことで100%が望ましい値とされています。本市の場合、毎年度の管渠整備に対して水洗化可能人口は、増加しているものの水洗化が追いついていないものと思われます。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、当該年度に更新した管渠延長の割合を表しています。管渠改善率は、管渠の更新ペースや状況を把握することが出来ます。
全体総括
本市の公共下水道事業の経営の健全性・効率性については、供用開始から15年経過していますが使用料の改定がないまま現在に至っています。その為経費回収率が著しく低く経営を圧迫している状況にあります。一般会計から繰入れているものの、地方債残高も高く推移し償却が一向に減らないその上末端管渠の整備に対して水洗化が追いついていません。水洗化人口を増加させるため色々と対策していますが、伸び悩んでいるのが現状です。下水道経営には、使用料の定期的な改定と投資の効率化は不可欠です。その為には、市民の下水道への理解が不可欠です。また行政は経費の徹底した抑制を図り計画の見直し等を考慮し、整備方法についても再検討する必要があるかと思います。なお施設の利用率については、日最大流入水量の伸びに応じて増設しますので必ずしも施設が遊んでいることにはなりません。しかし、施設の利用率が低いのは、末端管渠整備の遅れの可能性があります。その為流入水量が計画通り処理場に流入していません。