経営の健全性・効率性について
令和元年度決算における経常収支比率は、類似団体平均を上回り133.76となっている。ここ数年は、減価償却費の増加や台風等による濁度上昇のための送水停止による収益の減少等により、送水停止の日数が多い年にはこの比率が低下している。現時点で100%を下回ることはないが、断水が長期に渡れば大幅な給水収益の減少となることも考えられるため、今後も更新・耐震化を継続的に進めていくための財源を確保していくためには引き続き経営努力が必要である。料金回収率については類似団体平均を上回り100%超の水準を維持していることから、給水に係る費用は給水収益で賄われている。また、流動比率については類団平均と比較して大幅に上回っており、当面の支払い能力は問題ない。企業債残高対給水収益比率は、類似団体の平均値を下回っているものの、近年残高が増加している。施設利用率、契約率についても類似団体を上回り、施設の運用についても配水能力の9割前後と高い利用率を維持し、効率的な施設の稼働状況であるといえる。これらのことから本事業については、施設稼働や料金回収について効率的な運営を行い、料金を維持しつつ一定の収益を確保できているため、今後も経営戦略に沿って経営基盤の強化に努めていく。
老朽化の状況について
有形固定資産税減価償却率については令和元年度決算においては類似団体平均値より高く、老朽化が進んでいるといえる。事業開始から50年以上が経過し、当初に布設した管路については更新・耐震化が必要となり、アセットマネジメントにより策定を行った経営戦略の投資財政計画により更新・耐震化を行っている。
全体総括
経営状況は総じて安定しているが、既存施設が法定耐用年数を経過するなど事業開始から50年以上が経過し老朽化対策が必要となっている。また、南海トラフ巨大地震等の災害に備え耐震化も必要である。これらの更新には多額の費用が必要なことから、今後も継続的に利益を計上し、施設更新のための財源を確保できるよう経営努力が必要である。