経営の健全性・効率性について
特定環境保全公共下水道事業については、他団体同様、市街化区域以外の小規模な排水処理区域を基礎とし、処理区域内人口密度も公共下水道の4割程度と汚水処理の効率が低く、使用料については、公共下水道事業に準じた体系となっているため、収益性が低くなっている。①の経常収支比率については、類似団体平均が100を超しているものの、本市86.76と赤字の決算となっている。また、⑤の経費回収率についても、類似団体平均より若干低くなっている。現在、伯方町の木浦・有津地区については整備中であり、有収水量が少なく、また、地形上自然流下のみでは汚水を収集できないので、多くのマンホールポンプを整備しているため、⑥の汚水処理原価も類似団体平均値と比べて高くなっている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、今年度(H28)が法適用初年度であるため、公共下水道と同様に、減価償却累計額は1年分のみの算定となり、当該率が低くなっている。今後、年数が経過し、償却が進むにつれ50%程度になるものと見込まれる。また、現有6処理区のうち、5処理区は供用開始から20年未満であるため、大規模な改修が必要な施設はほとんどない状況であったが、今後は、供用開始後20年を超えてくるため、施設の改修等が増えてくる見込みである。そのような中、改修に係る経費や維持管理に係る経費を削減するため、H30年度予算において、1処理区について、公共下水道の処理区に編入し処理場を廃止する予定である。
全体総括
今後H29~30で策定するストックマネジメント計画に基づき施設全体での最適な改築更新に取り組むこととしており、施設の統廃合についても検討している。整備事業のピークは過ぎているため、企業債償還金については逓減することから、汚水処理原価についても逓減し、経費回収率も改善すると考えている。しかしながら、特定環境保全公共下水道は公共下水道と比較して採算性が低いこと、また、使用料体系については、市内で均一化(同料金)としていることもあり、公共下水道と特定環境保全下水道のセグメントがある限り、特定環境保全公共下水道事業については、赤字の見込みである。