経営の健全性・効率性について
本事業は人口変動も少なく、料金収入はほぼ横ばい、維持管理費も事業規模の小ささを考慮すればほぼ基本的には横ばい推移となっているが、H29は修繕費が増加したことから収益的収支比率が減少することとなった。事業規模が小さい本処理区においては、維持管理費の大幅な削減を見込むのは困難であり、今後、支払利息は横ばいで推移するものの、人口減少の進行に伴って料金収入は減少し、収支比率は減少していくものと考えられる。企業債残高対事業規模比率は、既発債の順次償還により減少傾向にあるものの、類似団体と比較してH29で679.89ポイントも上回っているため、事業規模の面から見て経営状況の健全性は低いと言える。今後、地方債残高は着実に減少していく見込みではあるが、人口減少による料金収入の減少も見込まれるため、事業規模に沿った健全性を確保するためにも、他の下水道事業と併せて料金水準の見直しを検討する必要がある。経費回収率については、近年上昇傾向にあるものの、類似団体と比較してH29で10.85ポイント下回っており、健全性は低いと言える。維持管理費の抑制は事業規模から見て困難であるため、今後は料金見直し等により、健全性の向上を図る必要がある。汚水処理原価については、近年減少傾向にあるが、類似団体と比較してH29で72.34ポイント上回っており、処理費用の効率性は比較的低いと言える。事業規模から見て維持管理費の削減は難しく、地理的要因等により他処理区との統合も困難なため、経費削減が課題である。施設利用率については、類似団体と比較してH29で3.44ポイント下回っており、施設の効率性は比較的低いと言える。水洗化率はすでに高い水準にあることから利用率向上の要素は少なく、隣接する他処理区との統合についても困難であるため、効率性の向上が課題である。
老朽化の状況について
管渠については、下水道事業開始以後、耐用年数に達しておらず、これまで緊急的に更新する必要がなかったため、管渠改善率は0.00で推移している。処理施設は小規模なものであり、当面は軽微な修繕等により対応は可能であるが、計画的な維持管理を行い経費の平準化を図る必要がある。
全体総括
事業の経営規模からみて大幅な維持管理費の抑制は難しいと考えるが、人口減少による料金収入の減少は避けられない状態にあるため、他の下水道事業と併せて料金見直しの検討を行う必要がある。今後、施設更新に伴う多額の費用発生の見込みは無いと考えられるが、適切な施設の維持管理を行いながら、計画的な施設管理・修繕を行い、経営の健全化を図らなければならない。