経営の健全性・効率性について
人口変動も少ないため料金収入はほぼ横ばい、維持管理費も事業規模の小ささを考慮すればほぼ横ばい推移となっており、収益的収支比率も横ばい推移となっている。事業規模が小さい本処理区においては、維持管理費の大幅な削減を見込むのは困難であり、今後、地方債元利償還額は横ばいで推移するものの、人口減少の進行に伴って料金収入は減少し、収支比率は減少していく可能性が高いと考えられる。企業債残高対事業規模比率は、既発債の順次償還により減少傾向にあり、類似団体と比較してH28で729.72ポイントも上回っており、事業規模の面から見て経営状況の健全性は低いと言える。今後、地方債残高は着実に減少していく見込みではあるが、人口減少による料金収入の減少も見込まれるため、事業規模に対しての健全性を確保するためにも、他の下水道事業と併せて料金水準の見直しを検討する必要がある。経費回収率については、事業規模の小ささを考慮すればほぼ横ばい推移であったが最近は向上傾向にある。しかし、類似団体と比較してH28で5.74ポイント下回っており、健全性は僅かながら低いと言える。維持管理費の抑制は事業規模から見て困難であるため、今後は料金見直しの検討等により、健全性の向上を図る必要がある。汚水処理原価については、類似団体と比較してH28で4.0ポイント上回っており、処理費用の効率性は比較的低いと言える。事業規模から見て維持管理費の削減は難しく、地理的要因等により他処理区との統合も経費削減メリットは小さいと考えられる。施設利用率については、類似団体と比較してH28で3.74ポイント下回っており、施設の効率性は比較的低いと言える。水洗化率はすでに高い水準であることから宅内接続の推進による利用率向上要素は少なく、隣接する他処理区との統合についても維持管理費抑制の面からメリットは小さいため、効率性向上が課題となっている。
老朽化の状況について
管渠については、事業開始以後、耐用年数に達しておらず、緊急的に更新する必要がなかったため、管渠改善率は低い数値で推移している。処理施設は小規模なものであり、当面は軽微な修繕等により対応可能であるが、計画的な維持管理を行い経費の平準化を図る必要がある。
全体総括
事業の経営規模からみて大幅な維持管理費の抑制は難しいと考えるが、人口減少による料金収入の減少は避けられない状態にあるため、他の下水道事業と併せて料金見直しの検討を行う必要がある。今後、施設更新に伴う多額の費用発生の見込みは無いと考えられるが、適切な施設の維持管理を行いながら、計画的な施設管理・修繕を行い、経営の健全化を図らなければならない。