経営の健全性・効率性について
●本事業は処理区域が非常に小さいため、人口変動も少なく料金収入はほぼ横ばい、維持管理費も事業規模の小ささを考慮すれば基本的にはほぼ横ばいで推移しており、R2は前年度比で1.22ポイントの微減となった。事業規模が小さい本処理区においては、維持管理費の大幅な削減を見込むのは困難であり、今後、支払利息・地方債償還金は横ばいで推移し、料金収入は人口減少で減少傾向となるため、収益的収支比率は僅かずつ減少していく見込である。●企業債残高対事業規模比率は、既発債の着実な償還により減少傾向にあるものの、類似団体と比較してR2で986.11%も上回っているため、事業規模の面から見て経営状況の健全性は低いと言える。今後、地方債残高は着実に減少していく見込みではあるものの、人口減少による料金収入の減少が見込まれるため、事業規模に沿った健全性を確保するためにも、令和元年度上下水道運営審議会の答申に基づく料金の引上げなど、比率の改善に向けた対策を行っていく。●経費回収率については、前年度比で6.49ポイントの減少となった。類似団体と比較してR2で19.72%上回っており、他団体と比較しても健全性はある程度高いと言える状況である。しかし、事業規模から見て、今後の維持管理費のさらなる抑制は困難であるため、料金の引上げ等により健全性の向上を図る必要がある。●汚水処理原価については、ここ2年間で大きく減少し、R2は前年度比で24.96円増加した。類似団体と比較して239.05円下回っており、効率性は比較的高いと言える。支払利息・地方債償還金は今後横ばいで推移するとともに、事業規模から見てさらなる維持管理費の削減は難しく、地理的要因等により他処理区との統合も不可能であるため、更なる汚水処理原価の抑制は困難な状況である。●施設利用率については、R2は類似団体と比較して1.01%上回ったものの、本町の数値が上昇したものではないため、施設の効率性が向上しているわけではない。水洗化率はすでに高い水準にあることから利用率向上の要素は少なく、隣接する他処理区との統合についても困難であるため、効率性の向上は困難な課題である。
老朽化の状況について
管渠については、下水道事業開始以後、耐用年数を迎えておらず、これまで緊急的に更新する必要がなかったため、管渠改善率が0で推移している。当該処理区(小規模集合排水)の処理施設は非常に小規模なものであり、当面は軽微な修繕等により維持することが可能であるが、適切かつ計画的な維持管理を行い、施設を適正な状況で維持していく必要がある。
全体総括
処理区域や施設規模の小ささからみて、今後の大幅な維持管理費の抑制は難しいと考えるが、人口減少による料金収入の減少は避けられない状況にあるため、他の下水道事業と併せて、運営審議会の答申に沿った料金の見直し等の対策を進めていくことが必要である。今後、施設更新に伴う多額の費用発生の見込みは無いものの、適切な施設の維持管理を行いながら、経営の健全化を図らなければならない。