経営の健全性・効率性について
①背景本市は、昭和63年度から公共下水道事業を実施しています。平成28年度末の普及率は50.25%と、大阪府内の自治体の中でも低い状況となっており、整備途上にあります。平成元年から平成14年まで人口密度の高い地域や大規模開発の際に設置されたコミュニティ・プラントを接続するため、集中的に下水道工事を実施し、普及率を31.2%まで伸ばしましたが、平成15年度から取り組んだ行財政改革により、管渠等の施設の整備事業を抑制することとなりました。同計画終了後も、引き続き厳しい財政状況に応じた整備事業を実施し、現在に至っています。②経営状況収益的収支比率については、平成26年度の下水道使用料改定により若干改善しましたが、横ばい状態が続いています。平成28年度実績においても75.29%と依然と低く、使用料収入により維持管理費は負担できても、資本費は一般会計からの繰入金に依存している状況です。企業債残高対事業規模比率は、平成15年度からの整備事業費の抑制等に伴い、類似団体と比べて低い状況にあります。一方で、経費回収率については、水洗化率の減少、節水機器の普及、節水意識の高まりなどの要因によって、使用料収入が伸び悩んでいる上、過去に投資した企業債償還金が増加傾向にあるため、数値が若干悪化するとともに、それに比例して一般会計繰入金が増加しています。(平成28年度汚水処理原価167.42円使用料単価148.32円)水洗化率については、未接続世帯への各戸訪問によるアンケート調査など水洗化率向上に努めていますが、人口減少等の影響により減少傾向にあります。施設利用率については、単独処理場を設置していないため、当該値を計上していません。
老朽化の状況について
本市の下水道施設は、経過年数が30年に満たないため、抜本的な老朽化対策の時期は到来していませんが、一部民間企業から移管された施設は40年を超えるところもあり、維持管理費の抑制を図るために長寿命化計画を策定し、平成28年度は民間企業から移管された管の更正事業を行うなど、予防保全対策を実施しています。・平成26年度一部地域の老朽した下水道管渠にて長寿命化計画を策定・平成27年度長寿命化計画にて得た調査結果より改善が必要とされる管渠を抽出し年度計画を策定・平成28年度民間企業から移管された昭和50年布設の下水道本管の更正事業を実施
全体総括
独自の終末処理場を有しない本市は、大阪府南部水みらいセンターにおいて下水の処理を行い、その運営経費を負担しています。また、供用開始前後の施設建設経費の財源に充てた企業債の償還額が未だ高額であり、償還額のピークを迎える時期が近付いてきていることから、阪南市行政経営計画に基づき、効率的な手法、箇所を選定した施設整備の実施及び下水道人口の普及率、下水道接続率向上に取り組んでいます。さらに、平成30年4月地方公営企業法の一部適用及び平成32年度を目途に「経営戦略」の策定を予定しており、計画的な建設工事、下水道施設の効率的な維持管理、費用対効果を踏まえた経費の節減など経営の効率化に努めるとともに、下水道使用料の適正化を含め将来を見据えつつ、経営基盤の強化を図り、健全な下水道経営を目指していきます。