経営の健全性・効率性について
【収益的収支比率】一時立替分を含む地方債償還金の変動により比率が上昇する年もあるが、概ね76%前後で推移している。地方債償還金の財源として、維持管理負担金(資本費)と一般会計からの繰入金があるが、資本費の回収は、県・関連市町間での協議で県(公費)負担とする部分があることと、事業の進捗状況に合わせて行っていることにより100%に至っていない。【企業債残高対事業規模比率】H29は地方債現在高から一般会計負担額を減じていなかったため再計算したところ、当該値が819.77%⇒321.66%となった。これにより比較したところ、前年度から34.80ポイント増加し、過去4年間の最高値(H26)と比べて10.75ポイント増加した。なお、類似団体平均値と比較すると過去5年間下回っている。【汚水処理原価】流入水量・水質の変化に応じた運転によりコスト縮減に取り組んでいるが、処理費用と流入水量との割合による影響を受けて58円台から65円台へと上昇したことと、類似団体平均値が前年度から25.26ポイント下落したことにより類似団体平均値を上回る結果となった。【施設利用率】流域関連市町での下水道処理区域の整備と各戸接続が進んだことにより、前年度から0.47ポイント上昇した。類似団体平均値と比較すると下回っているが、過去5年間当該指標は着実に上昇している。【水洗化率】H29は処理区内人口及び水洗便所設置済人口が最新のものでなかったため再計算したところ、当該値が80.61%⇒87.75%となった。これにより比較したところ、水洗便所設置済人口の増加に比べて処理区域内人口の増加の割合が大きい年度は水洗化率が下がっているが、流域関連公共下水道の整備に伴い逓増傾向にある。なお、類似団体平均値と比較すると過去5年間下回っている状況となっている。県、関連市町の負担が適切となるよう、引き続き経営計画を定期的に見直し、健全な経営に努めていく。また、流域関連市町と連携し、生活排水処理アクションプログラムに基づき施設整備を進めるとともに、水洗化率及び施設利用率の向上を図り、効率的な経営に努めていく。
老朽化の状況について
昭和62年度に供用した施設が最も古く、法定耐用年数を経過した管渠施設はないが、カメラ調査等により劣化の状況等現状把握に努めている。調査結果に基づき更新財源の確保を考慮し、長寿命化計画により施設の改築更新を行っていく。
全体総括
流域下水道事業の経営計画は関連市町と定期的に見直し、収支均衡となる負担金単価を設定している。財務諸表の作成により資産と負債及び資本の関係を明らかにし、地方債の償還を見極めながら施設の耐用年数を考慮した改築更新計画を作成する等、投資計画や資金計画の最適化に、より的確に取り組むため2020年度から公営企業会計を導入する。