経営の健全性・効率性について
裾野市下水道事業の会計方法は、法非適用企業であり、特別事業会計にて処理されています。平成26年度末で総収益(基準内一般会計繰入金のみ計上)から総費用と元利償還金の和を除した①収益的収支比率は約90%と指標から判断すると単年度収支が赤字の状況です。そのため、基準外の一般会計繰入金を補填し、収支均衡させ事業を実施しております。これは、普及率が平成27年度末で40.1%と低く、経営基盤が確立されていないことが主な原因であり、今後とも早急な未普及解消事業を行う必要があります。④企業債残高対事業規模比率が類似団体と比較すると依然として高い状況であり、企業債の償還残高に対し、使用料収益が少ない状況であると判断できます。そのため、早急に料金水準を再検討する必要があると考えられます。なお、平成27年度の数値が前年度より高くなった理由は、企業債元金償還金に対する一般会計の繰出割合の変更によるものです。⑤経費回収率については、前述しておりますが、普及率が低水準であることから、使用料で回収すべき費用について、使用料収入で賄え切れていない状況です。しかし、平成27年度末に富沢・桃園地区などのまとまった区域の供用開始があったため、今後回収率は上昇する見込みです。⑥汚水処理原価については、類似団体より若干低い数値ですが、処理場を保有しない当市下水道事業については、静岡県の流域処理場を利用することで効率的な汚水処理が行われており、適正な汚水処理原価となっていると判断できます。⑧水洗化率については、90%弱と類似団体とほぼ同水準でありますが、平成27年度以降のまとまった区域の供用開始により、一時的に水洗化率が下がる見込みです。そのため、水洗化率向上のために、引き続き職員が説明会や未接続世帯を戸別訪問し接続啓発を行う必要があります。
老朽化の状況について
裾野市下水道事業は、平成3年度から資本費投資を開始しており、老朽管(法定耐用年数に近づいている管)は現時点ではありません。しかし、今後資産管理を厳格に行い、来る将来にストックマネジメント手法を取り入れた管路等更新計画を策定していく必要があります。
全体総括
裾野市下水道事業は、供用開始が平成10年度と下水道事業としてはかなり若い(普及率が低い)分類に入ります。事業の性質上、普及率が低い水準であることは、経営基盤の整備が進んでいないことを意味しており、本来必要となる使用料収入が不足し、一般会計からの基準外繰入金を充当し事業展開している状況を示しております。今後、一般会計からの基準外繰入金をなくし、使用料収入で経営することを目指さなければなりません。そのために当市下水道事業では、平成30年度から地方公営企業法を会計適用し、営業活動の数値化や資産の把握を厳格化する予定です。また、平成29年度には資本投資の効率的な計画であるアクションプラン、そして法適用化後には、投資計画に連動した中期的な経営計画である経営戦略を策定する予定です。今後、これら策定する計画に基づき効率的な経営を行い、効果的な普及率の向上が求められています。また、日々の維持管理や将来迎える管路等の更新についてはストックマネジメントの手法を取り入れ、計画的な将来予測と投資、そして適正な使用料の設定が重要となります。そのために、当市下水道事業では、社会資本整備総合交付金整備計画において、平成31年度に長寿命化計画策定の事前調査を予定しています。