経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は上昇傾向となっているが、下水道事業の地方債の償還金がピークを過ぎたことから改善傾向にある。なお、近年では普及率の鈍化及び水道使用量の節水による排水量の減少に伴い使用料収入が伸び悩むところであり、他会計からの繰入金にも頼っているところである。供用開始から14年が経過し機器等の経年劣化による修繕費が増加してきており、適切な維持管理と計画的な更新を図ると共に、供用開始以降料金改定を行っていないため、会計状況に見合った料金改定を検討する必要がある。経費回収率は、類似団体平均値を上回っているが、100%を下回っている。今後さらに施設整備が必要となり、水洗化率が横這いとなっていることから、適切な使用料収入が確保できない状況であり、使用料の改定が求められる。汚水処理原価は、維持管理費のうち処理場の電気料金の削減が図れたことで削減となり、また、施設機器の修繕が減少したため当該年度は削減できたが、今後、燃料調整費の増加等により電気料金の増加も見込まれ、また、経年等による施設の修繕が増加することが見込まれる。機器状況の把握を初め、経営状況により適切な維持管理を図り、更なる費用の削減や適切な使用料金の改定を行う必要がある。施設利用率については、ほぼ横ばい傾向にあり、今後も大幅な上昇は考え難いところである。水洗化率については、大半の接続工事が完了しており、ほぼ横這い状況となっている。一部未接続の家屋もあるため、住民への接続促進を啓発し、更なる水洗化率の向上に努めていく状況である。
老朽化の状況について
供用開始から14年が経過し、比較的施設は新しいが、地理的条件からマンホールポンプ及び宅内ポンプの施設が多いため、部品の交換や修繕が必要となってきている。また、処理場機器類についても、長寿命化の観点より、各機器類のオーバーホール等の時期を今後迎えるため、適正な会計把握及び修繕計画を立て、長寿命を行う必要がある。管渠については、布設替等は当面無いが、マンホール蓋等硫化水素による劣化が懸念されるため改修の必要な時期を迎えている。
全体総括
地方債の償還額のピークが過ぎたことから、今後は徐々に経営的に改善されることが予測できるが、施設の経年劣化も進むことから、修繕費が年々増加することも予測できるため、適切な維持管理と計画的な更新、修繕を図る必要がある。使用料についても会計状況に見合った改定が必要となるため、検討が必要である。企業会計に移行する計画があるため、資産等の把握、精査に努めると共に安定的な会計となるように努力していく必要がある。