経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率、100%未満である上、総収益の約69%を一般会計繰入金に依存している状況であるため、使用料収入による財源確保等の経営改善に向けた取組が必要である。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体、全国平均を下回っている。現在は、下水道普及率97.0%となっており、新規投資の必要性は生じてないが、近い将来、処理場施設の老朽化に伴う大規模更新が見込まれるため、財源確保にむけて料金水準が適切かどうか検討を行う必要がある。⑤経費回収率は67.98%と全国平均、類似団体を下回っているため、適正な使用料収入を確保及び汚水処理費の削減が必要である。⑥汚水処理原価は、類似団体を上回っており、効率化による維持管理費の削減、料金水準を見直しによる経営改善等、持続可能な下水道事業の推進に努めていく必要がある。⑦施設利用率は、晴天時において48.6%と余力を残している状況であるが、雨天時において晴天時処理能力近くに達することもあり、不明水対策が急務となっている。⑧水洗化率は96.72%で汚水処理も適切に行われており、水質保全に寄与している。
老朽化の状況について
当町の特定環境保全公共下水道事業は、昭和55年4月より志比処理区で、昭和62年4月より中央処理区で供用を開始している。志比浄化センターは供用開始から37年、中央浄化センターは30年経過しており機械設備等の更新時期を迎えつつある。特に志比浄化センターにおいては老朽化が著しいため、経営の効率化の観点から汚水処理を廃止し、中央処理区への統合事業を平成27年度から実施している。現在は、施設、管渠とも更新・老朽化対策は実施していないが、長期的な視点で中央浄化センターの改築、長寿命化等について下水道施設統合計画基本方針策定業務の中で検討を行い、財源確保も含めて適切に対応していく。
全体総括
当町の特定環境保全公共下水道事業の経常収益は、一般会計からの繰入金に依存している状況が続いており、経営状況は脆弱である。また、近い将来、中央浄化センターの改築、長寿命化等の大規模更新事業が予定されており、その更新投資等に充てる財源確保が求められている。このため、料金体系の見直しによる収益の確保、維持管理費の削減、施設の統廃合等の効率化による費用の削減を行い、経営改善に向けた取組を行う必要がある。