経営の健全性・効率性について
経常収益は、料金収入がメインとなりますが、契約解除する供給先事業所が増加している影響により、収益の減少が年々著しくなっております。収益的支出においては、電気・動力設備に係る費用負担や企業債利子の負担額が大きく、収益的支出のほとんどが固定費であるため、支出の圧縮は非常に困難な体質であります。これにより①経常収支比率が100%以下となり、赤字経営となっており、②累積欠損金にも影響を及ぼしております。なお、短期的な債務に対する支払い能力を示す③流動比率は、平成30年度は600%を超え、短期的な支払能力は確保しているものと考えます。④企業債残高対給水収益比率は、新規起債をしていないため、類似団体よりも低く抑えられており、企業債が財政に与えている影響は少ないと言えます。⑤料金回収率及び⑥給水原価は、①経常収支比率と同様に固定費の割合が高いため、類似団体と比較すると料金回収率は低く、給水原価は高く推移しています。支出を抑制するべく経費の見直しを行うと共に、⑦施設利用率や⑧契約率からも見受けられるが、収益を増やすべく、新規利用事業所の獲得に努めるとともに、工業用水道料金の見直しについて検討していく必要があります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率の指標が70%を超えており、徐々に老朽化した施設等が増えている状況であります。③管路更新率の表のとおり、この5年間においては、管路の更新工事を実施しておりません。これは、1、経営の健全性・効率性にも関連しますが、累積欠損金が増加しており、経常利益がマイナスの状況であり、自己資金残高が厳しくなっていることから、建設投資への資金が不足していることが一つの要因です。老朽化した施設等の更新は、今後の経営を見据え、施設の最適化(ダウンサイジング)を図りつつ、計画的に更新していきます。
全体総括
工業用水道事業を取り巻く状況が大きく変貌し、当企業団を取り巻く経営環境が益々厳しくなる中で、計画的に施設や管路の更新整備を進め、健全性を維持していくためには、経営状況について的確に現状を把握したうえで、徹底した経営の効率化や施設管理の見直しに取り組む必要があります。そのため、将来にわたって安定的に事業を継続していくために、中長期的な経営の基本計画として、「青梅、羽村地区工業用水道企業団工業用水道事業経営戦略」を令和2年度に策定し、独立採算制の原則に則り、引き続き、自主財源による事業運営を持続するため、更なる経営効率化を図り、財源確保に努め、安定的、持続的な工業用水道事業の運営を図ります。