経営の健全性・効率性について
経常収益は、料金収入がメインであり、令和2年度末時点で14社に供給しており、給水収益は前年度と同程度で推移しているが、依然として厳しい状況になっています。収益的支出においては、電気・動力設備に係る費用負担や企業債利子の負担額が大きく、収益的支出のほとんどが固定費であるため、支出の圧縮は非常に困難な体質であります。これにより①経常収支比率が100%以下になり赤字経営となっており、②累積欠損金比率にも影響を及ぼしています。なお、短期的な債務に対する支払能力を示す③流動比率は、令和2年度は約1,200%となっており、短期的な支払能力は確保しているものと考えます。④企業債残高対給水収益比率は、新規起債をしていないため、類似団体よりも低く抑えられており、企業債が財政に与えている影響は少ないといえます。⑤料金回収率及び⑥給水原価は、①経常収支比率と同様に固定費の割合が高いため、類似団体と比較すると料金回収率は低く、給水原価は同程度で推移しています。支出を抑制するため経費の見直しを行うとともに、⑦施設利用率及び⑧契約率から見受けられるが、供給能力に余裕があることから、新規利用事業所の獲得に努めるとともに、工業用水道料金の見直しについて、具体的に検討していく必要があります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率の指標が70%を超えており、徐々に老朽化した施設等が増えている状況であります。②管路経年化率も60%を超え管路についても老朽化が進んでいる状況であります。③管路更新率のとおり、この5年間においては、管路更新工事を実施しておりません。これは、1.経営の健全性・効率性と関連しますが、累積欠損金が増加し、経常利益がマイナスの状況であり、自己資金残高が厳しくなっていることから、建設投資への資金が不足していることが一つの要因です。老朽化した施設等の更新は、今後の経営を見据え、企業債の返済状況を加味し、計画的に更新していきます。
全体総括
工業用水道事業を取り巻く状況が大きく変わり、当企業団を取り巻く経営環境が益々厳しくなる中で、計画的に施設や管路の更新整備を進め、健全性を維持していくためには、経営状況について的確に現状を把握したうえで、徹底した経営の効率化や施設管理の見直しに取り組む必要があります。そのため、将来にわたって安定的に事業を継続していくために、中長期的な経営の基本計画として、「青梅、羽村地区工業用水道企業団工業用水道事業経営戦略」を令和2年度に策定しており、独立採算性の原則により、引き続き自主財源による事業運営を持続するため、さらなる経営効率化を図り財源確保に努め、安定的、持続的な工業用水道事業の運営を図ります。