経営の健全性・効率性について
①の経常収支比率は106.59%であり、経営状態は安定していると考えられます。②の累積欠損金比率は0%であり、累積欠損金は発生していません。③の流動比率は267.88%であり、経営状態は安定していると考えられます。④企業債残高対事業規模比率は38.54%であり、類似団体平均値を大きく下回っておりますが、今後老朽化施設の更新のために事業費が増加する見込みのため、今後企業債残高が増加することが見込まれます。将来に渡る下水道事業の経営の安定化を継続するために事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要があります。⑤経費回収率は181.87%と類似団体平均を大きく上回り、⑥汚水処理原価は43.68円と類似団体の1/2以下と健全な経営状況であると考えられます。⑧水洗化率は99.99%とほぼ100%に達しており、将来的には100%になると見込まれます。以上の指標を分析した結果、現状では経営が健全であると考えますが、今後施設の更新のため事業費の増加が見込まれるため、費用の縮減や収入の確保等継続的な下水道事業経営の見直しが必要と考えます。
老朽化の状況について
現在、③の管渠改善率は0%となっていますが、小金井市においては、昭和44年に公共下水道整備計画に着手し、昭和62年には普及率100%に達し、計画当初に敷設した管きょは、令和3年度以降法定耐用年数である50年を超え始め、今後の10年間で施設の更新ピークを迎えることが見込まれています。そのため、令和元年度に市内管きょ全249kmを対象としてストックマネジメント計画を改定し、令和2年度より5か年で約6,500箇所を対象に点検を行います。ストックマネジメント計画及び点検結果に基づき、順次管きょの調査・改築を行う予定で、令和3年度に布設替え工事、令和4年度より管更生工事を行います。
全体総括
小金井市の公共下水道事業は、昭和62年の普及率100%達成後、維持管理の時代へと推移しました。現在、当初敷設した管きょが供用開始後50年を迎えようとしており、今後施設更新に係る事業費の増大が見込まれます。また、経常収費比率が平均値より低いことや、使用料徴収に係る事務経費は公共下水道事業の維持管理に影響を与えます。今後も安定的な経営を継続することを目指し、令和2年度からの公営企業法適用による財務状況の分析を踏まえた上で、長期的な財政見通し、使用料・事務事業の定期的な分析、ストックの利活用、新たな収入確保への取り組みなどについて、経営戦略改訂版の策定を現在実施しており、より一層の経営基盤の強化を図っていきます。また、下水道における基本的な方針や施策の方向性を示す下水道総合計画を現在検討しており、下水道全体を総合的に捉え、計画的かつ効率的に施策を実施することを図っていきます。