経営の健全性・効率性について
単年度の収支比率を示す①収益的収支比率は、平成27年度から平成30年度にかけては100%を超えていましたが、令和元年度は地方債償還金の増加により、100%を割り込んでいます。今後、使用料改定や費用の縮減等、健全な経営に取り組んでいきます。使用料収入に対する市債(借金)残高の割合を示す④企業債残高対事業規模比率は、類似団体の平均値に比べ低い値となっています。今後の事業費の増加に伴い、市債残高の増加が見込まれるため、平成27年度より、市債の起債抑制をおこない、将来負担を軽減する取り組みを進めています。使用料で回収すべき経費をどの程度使用料で賄えているかを示す⑤経費回収率は、当市では108.24%と100%を超えています。今後の事業費の増加に備え、平成25年度に基金を創設しました。使用料は4年度ごとに見直し、令和2年4月には改定を行いました。⑥汚水処理原価は、類似団体の平均値に対して、かなり低い金額に抑えられています。⑧水洗化率は、おおむね100%を達成しており、普及率は昭和62年に100%を達成し、汚水処理が適切に行われています。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、類似団体平均値を下回っています。当市の管渠整備は、昭和40年代に集中的に整備されたため、初期に布設したものは、管渠の標準耐用年数である50年を経過しており、今後も多くの管渠が更新時期を迎えることが予想されます。そのため、平成24年度に「武蔵野市下水道長寿命化計画」を策定し、予防保全型の維持管理により施設の延命化やライフサイクルコストの低減を図るとともに、改築時期の平準化を行い、着実な再整備を実施しています。また、令和元年度には下水道施設全体を捉えた「下水道ストックマネジメント計画」を策定し、計画的な更新をすすめていきます。
全体総括
当市の下水道事業の経営状況は、各指標が示す通り、現段階では健全であると考えています。ただし、当市では下水道の整備時期が早かったこともあり、今後施設の更新等で建設事業費が大幅に増加する見込みです。限られた財源の中で着実な対応を行い、継続的にサービスを提供していくために、「武蔵野市下水道総合計画(2018)」を策定し、下水道全体を総合的に捉えて、重点的かつ計画的に事業を推進しています。この計画を基に予防保全型維持管理による施設全体の延命化や改築時期の平準化などを図り、下水道使用料の定期的な見直し、基金積立、起債抑制等経営基盤を強化する取り組みを進めています。また、令和2年度から地方公営企業法を適用し、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上に取り組んでいます。