経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率においては100%を下回り、95.38%の低い数値となった。汚水処理区域の拡大とともに使用料収入は緩やかに増加しているものの、今後は地方債償還金の増加や経年劣化等による施設管理費の増加が見込まれるため、更なる費用の削減と使用料収入の確保に努める。④企業債残高対事業規模比率については、地方債償還金の一部を一般会計繰入金で賄っており、類似団体と比較して低い数値となっているが、繰入割合の変動により昨年度よりも高い数値となっている。今後も管渠の整備等により地方債の増加が見込まれるため、一般会計の負担を考慮するとともに、経営改善に努める。⑤経費回収率については100%に達し、類似団体の平均値よりも高い数値を保っている。引き続き汚水処理費に対する使用料収入を確保していく。⑥汚水処理原価に対しては、類似団体の平均値を下回っているものの、年々数値の乖離が少なくなっている。事業の拡張に伴い有収水量の増加が見込まれるが、汚水処理施設の修繕等も含め、汚水処理コストの削減を進めていく。⑦施設使用率については年々上昇しており、類似団体の平均値を超える数値となっている。更なる施設の有効活用や効率的な運営、維持管理を目指し、施設の拡張及び統廃合を検討している。⑧本村では全区域の水洗化を目指し、処理区域の拡張事業を行っているが、接続率が低く、類似団体の平均値と比較しても水洗化率は低い数値となっている。水質保全等の観点からも加入促進に努める。
老朽化の状況について
本村の公共下水道施設において法定耐用年数を超過した管渠はないが、硫化水素等によるマンホールポンプ施設の劣化や汚水処理施設の故障による修繕等は頻繁な状況にあり、将来的には管渠の改修に対する検討も必要となる。平成32年度から公営企業法の適用に向けた取り組みによる固定資産の経年化状況の調査を経たうえで、施設のストックマネジメント計画の策定を検討し、老朽化対策に努めていく。
全体総括
本村の公共下水道事業において、人口減少や施設の老朽化が懸念されるなか、安定した健全経営を継続していくには、使用料収入の確保及び効率的な事業の実施並びに維持管理費用等の削減が必要である。現在、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上等を目的とした公営企業法の適用に向けた準備を進めるなかで、経営戦略の策定や固定資産台帳等を見直すことにより、経営状況や資産状況を正確に把握したうえで、適切な施設の維持管理に努め、効率的な事業を計画するとともに、使用料の増収を目指した接続率の向上に取り組んでいきたい。また、施設の有効利用や農業集落排水事業を含めた費用の削減として、適切な施設規模及び建設時期を分析し、処理施設の増設並びに農業集落排水施設との統廃合を検討するとともに、施設の将来的な老朽化に伴う長寿命化対策としてストックマネジメント計画の策定も検討していく。