経営の健全性・効率性について
◆収益的収支比率および経費回収比率はともに80%前後で、汚水処理原価についても類似団体平均の近似値で推移しており、使用料収入(営業収益)と他会計繰入金(営業外収益)の増加により、収支は改善傾向にある。しかしながら、単年度収支は赤字状態が続いており、管渠整備等に要した企業債の償還額が収支圧迫の大きな要因となっている。◆企業債償還額と営業収益の増加により、企業債残高対事業規模比率は減少傾向にあるが、類似団体平均値を上回っている状況が続いており、今後も管渠整備等に要する企業債借入が予定されることから、投資規模の適正化を図る必要がある。◆更なる収支改善を図るためには、適正な使用料収入の確保と施設効率の改善が必要となるが、下水道使用料は全国的にみても高水準にあり、これ以上の負担を受益者に求めることは厳しい現状にある。そのため、類似団体よりも低い水準にある水洗化率の向上に努めるとともに、運営体制や今後の投資の在り方について見直す必要がある。
老朽化の状況について
管路施設は、供用開始から11年とまだ日が浅く、老朽化対策等は行っていないが、ストックマネジメント計画に基づき、平成35年度以降に順次対策を実施する予定である。なお、管渠改善率における平成26年度の更新投資は、老朽化に伴うものではなく東日本大震災に起因する管渠の布設替経費である。
全体総括
下水道の整備計画は、平成39年度を完了年度としており、企業債償還期間も長期にわたることが予想される。経営環境が厳しさを増す中で、計画的な経営基盤の強化と財政マネジメントの向上が求められるため、平成31年4月の公営企業会計移行に向けて準備を進めるとともに、経営戦略やストックマネジメント計画に基づく経営の効率化と健全化を図る必要がある。