経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は,平成30年度に比べ12.63ポイント低下した。主な要因は,総収益の大部分を占める下水道使用料と繰入金の収入が減少し,総費用と元利償還金の計は前年度並みだったためである。④企業債残高対事業規模比率は,平成28年度から0ポイントであるが,企業債償還に全額一般会計の負担を見込んでいるためである。⑤経費回収率は近年60%台となっており,類似団体平均よりも高いが,十分とは言えない。⑥汚水処理原価は平成30年度よりも36.36円減少し,類似団体の平均値に近づいた。要因の一つに,有収水量が伸びていることがあげられる。⑦施設利用率は例年50%強となっている。家庭用の浄化槽であり,設置数がふえても,一基あたりの処理能力,処理数量に大きな変動が見られないため,比率も毎年度同程度で推移している。⑧水洗化率は市設置型浄化槽事業のため100%である。
老朽化の状況について
事業開始から10年程度であり,今すぐに更新が必要な状況ではない。しかし,短期間で一気に整備を進めているため,更新の時期も集中することが予想される。
全体総括
経費回収率,汚水処理原価をみると平成30年度決算に比べ改善している。収益的収支比率よりも経費回収率が低くなっているのは,事業開始からさほど経過していないことから元金償還額が少ないためである。また,令和元年度は地方公営企業法適用のための打切り決算が影響していることから,指標の値の補正により実態を確認したうえで,現在の経営状況の経営の健全性,効率性を高める取り組みが必要である。今後は,現在策定している下水道事業経営戦略に基づき,維持管理コストの削減を図り,汚水処理費と企業債償還に見合う下水道使用料を確保することが必要である。整備事業も継続中であり,将来の規模の見通しが難しいが,経営改善に向けた取り組みを確実に進める必要があると認識している。