経営の健全性・効率性について
【経年比較】当該値経年比較では、⑥汚水処理原価の変動が大きい。汚水処理原価は汚水処理費と年間有収水量から算出されるが、供用開始後間もない事業は下水道接続率が低く高い数値を示す場合が多い。当市の公共下水道事業は着実に整備を進めており、今後も処理区域の拡大に伴って汚水処理コストが改善されていく見込みである。【類似団体比較】⑤経費回収率の類似団体平均値との差が大きい。経費回収率は汚水処理費に対して使用料収入でどの程度賄われているかを表している。当市公共下水道事業において、下水道整備に伴い使用料収入が伸びていることから、経費回収率は年々改善しているものの、類似団体平均値がそれ以上に伸びていることから差が大きくなっている。使用料収入増収と併せ汚水処理コストを改善していくことが今後の課題である。【下水道事業の現状】当市の公共下水道事業は、供用開始時期が遅く、市の財政状況を考慮し下水道事業費を抑制していることから下水道整備が非常に遅れている。整備が遅れたことから下水道整備区域内において相当数の浄化槽設置家屋があり、下水道水洗化率が思うように伸びていない現状にある。今後は人口が集中しているむつ処理区を重点的・効率的に整備すると共に、下水道接続をPRし水洗化率の向上に努め、経営健全性を図っていく。
老朽化の状況について
当市の公共下水道事業は、むつ処理区が平成15年度、大畑処理区が平成16年度に供用開始しているが、供用開始からの年数が浅く、管渠・施設等の老朽化による更新はまだ行っていない。しかしながら、将来の更新を見据え、適切な資産管理・資金計画を行う必要があるため、ストックマネジメント計画を策定し、計画的な管渠・施設の更新を行うよう努める。
全体総括
当市の公共下水道事業は、着実に整備が進められていることから経営指標についても年々改善傾向にあるが、類似団体平均には及んでいない現状にある。そこで各指標をさらに改善していくため、有収水量を確保し使用料収入増収を図ると共に汚水処理費に係るコスト削減に努める必要がある。平成29年から31年にかけて市内統一料金とする使用料改定を行い、使用料増収により経営基盤の強化を図る。また、今後の整備推進は人口集中地区であるむつ処理区を中心に主要管渠の延長と住宅街等の面整備を集中的に進めることとしており、経営規模を拡大させ汚水処理コストの削減に努める。下水道整備を効果的なものにするためには類似団体平均値より低い下水道水洗化率の向上が不可欠なものであり、補助金制度や貸付制度の周知・啓蒙により下水道接続促進を図る。