経営の健全性・効率性について
類似団体に対し、施設効率性を示す⑧水洗化率、⑦施設利用率は、類似団体に対し比較的高い状況で推移しているが、今後、人口減少に伴い有収水量も減少し、過大な施設となり得る可能性がある、しかしながら本町の現状においては雨天時の不明水流入が多いため、既存施設規模は必要と思われる。⑧表において、水洗化の数値は類似団体より高い反面、今後は社会的人口減により当町においても接続人口が徐々に減少し、使用料収入の増加は見込めない状況である。⑤経費回収率は類似団体比較よりも低い傾向が続いている。これは、料金収入だけでは賄えなく、一般会計からの繰入金により運営している状況であり、要因としては維持管理費のうち老朽化施設修繕費の増加等が主な要因である。また、近年改築更新(建設事業)を休止していたため修繕費が増加傾向となり、⑥表の汚水処理原価でも類似団体よりも高い傾向として表されており、経営の効率性の低下の要因となっている。④表企業債残高体事業規模比率が類似団体に比べ低いのは、先に述べた建設事業費の更新改築を実施していない為に、新たな起債借入れが無く、残高ピークが過ぎたものに起因するであるが、平成30年度より処理場全面改築を計画しており、それに伴う借入れが新たに発生し比率がH30年以降増加するものと示唆する。
老朽化の状況について
処理場は、平成12年以降必要な改築更新事業(建設事業)を休止しているため、老朽化が進んでいる。そのため、安定稼働に必要な修繕を実施しており維持費が増加傾向である。今後は修繕程度では対応できなる可能性があるので、ストックマネジメントを考慮した計画策定および実施が必要である。管渠施設は、近年の道路陥没事故に対する懸念や、不明水対策として、供用開始後30年を超えている管路施設を中心に部分的修繕(内面補修)やマンホール修繕を実施している、処理場と同様に維持費(修繕費)での対応では限界があり経営の更なる悪化につながる。しかしながら、安全で継続的にサービスを安定的に供給するために必要不可欠なものとして実施している。
全体総括
今後、継続的にサービスを安定的に確保するため、現状の維持管理だけでは限界が近づいている。適正な改築更新(建設工事)を国の補助事業により実施する必要があるため、平成27年度より、人口減・地震対策を考慮した施設の再構築検討および長寿命化対策等の検討を実施し、平成28年度にストックマネジメント計画を策定した。今後は当該計画をふまえた更新改築を実施する方向で、処理場においては全面改築更新・修繕を実施しすることにより、一時的に建設事業が増加し、それに伴う借入金の償還等により経営状況が悪化することも懸念されるが、長期的スパンでは施設の安全稼働および管理費コスト低減につながると思われる。経営安定のためには併せて、全体的なバランスを考慮した使用料単価の見直しが必要と思われる。