北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

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地方財政ダッシュボード

宮城県亘理町の財政状況(2020年度)

🏠亘理町

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

財政力指数については平成21年度以降減少が続いていたが、平成26年度からは毎年前年度を上回っており、令和2年度についても前年度比0.02ポイント増の0.60となった。その要因としては、固定資産税や軽自動車税が増加しており、町税全体として6.6%の増となったことがある。しかしながら、個人町民税や固定資産税のこれ以上の伸びは期待できず、今後は横ばいの状態が続くものと思われることから、徹底した事務事業の見直しを実施して歳出削減策に取り組むとともに、町税等の滞納整理強化など自主財源確保に努め、財政基盤の強化を図る。

経常収支比率の分析欄

経常収支比率については、平成25年度までは類似団体を下回っていたが、平成26年度以降数値が上昇しており、平成30年度には94.8%まで悪化したものである。これは、震災後整備された施設が供用開始されたことなどにより、経常的な維持管理費等に係る物件費が増加したことや私立保育園等への給付費や障害福祉サービス費など扶助費が増加したことなどが要因となっている。令和元年度については、町税等の経常一般財源収入の増加や歳出における公債費等の経常経費充当一般財源の減少により、92.1%まで改善された。令和2年度については固定資産税をはじめとする町税の増加や消費税の税率改定に伴う地方消費税交付金の増加など一般財源収入の増加などで類似団体を下回る90.2%となったものである。しかしながら、庁舎、保健福祉センター関連事業等、多額の地方債を借入したことから、今後公債費も年々増加する事が予想されるため、さらなる自主財源確保や人件費抑制、事務事業の見直し等経常経費の更なる削減を進めることで財政運営の効率化を図り、経常収支比率の改善に努めていく。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

「歳入に見合った歳出」への財政構造の転換を図るため、人件費・物件費等の削減を実施してきたところではあるが、平成23年度以降は東日本大震災関連の人件費及び物件費が発生していることから数値は大幅に上昇している。近年はほぼ横ばいの高止まりの状態で推移していたが、令和元年度は新庁舎及び保健福祉センターの備品、令和2年度は新型コロナウイルス感染症対応備品、防災備蓄品など、臨時的経費の増により上昇している。今後においても大幅な削減は難しい状況であるが、特に経常的な部分について行財政改革の取り組みを強化し、必要最小限の歳出となるよう徹底した削減を図っていきたい考えである。

ラスパイレス指数の分析欄

震災後、任期付職員の採用等による職員構成の変動により、横ばいで推移していた指数がここ数年は増加傾向となり、令和2年度においては前年度と比較して0.3ポイント増加した。これは、復旧・復興事業の進捗に伴い、任期付職員の多くが任期満了を迎え、指数増加の職員構成に変化したことが要因である。しかしながら、依然として類似団体の平均値との比較では3.4ポイント下回っているため、今後も国・県・地域の民間企業等の給与の状況を踏まえ、より一層の給与の適正化を図っていきたい。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

定員適正化計画に基づき職員数の削減に取り組んできたが、東日本大震災後においては、復旧・復興事業が増加していることから、自治法派遣職員や任期付職員を増やしている状況である。また、住民基本台帳人口も震災後において大きく減少していることもあり、人口千人当たり職員数は類似団体を1.4人上回っている。今後においては、復興完了に伴い、自治体派遣職員や任期付職員の採用も縮小となっていく。外部委託の積極的な活用などにより、定員管理の適正化を図り、指数の改善に努めていきたい。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率については、前年度比0.2ポイント増の5.0%となり、類似団体平均よりも1.4ポイント下回った。平成29年度と令和2年度比較において、算定上の分母となる標準財政規模は、平成29年度対して416百万円増加したものの、分子となる一般会計の公債費(元利償還金の額)が34百万円増加したことや公営企業に要する経費の財源とする地方債の償還に充てたと認められる繰入金が9百万円増加したことにより実質公債費比率が増加したものである。今後も災害公営住宅整備に係る地方債償還をはじめ、庁舎建設関連事業などにおいて多額の地方債を借入したことから、一般会計の公債費が増加に転ずる見込みであり、実質公債費比率は上昇すると予想される。町有地及び工業用地売却の促進を目指すとともに、ふるさと納税のPRなどにより財源を確保し、多額の町債発行や基金の取り崩しを抑制していき、可能な限り地方債に依存しない財政運営を目指す。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率については、前年度同様の「-」となっているが、類似団体と比較すると15.5ポイント下回っている。現在のところは継続して健全財政を維持しているものの、普通会計における地方債残高が災害公営住宅整備事業に係る地方債及び災害援護資金貸付金(県貸付金)の借入により震災後大幅に増加している。さらに近年において、庁舎建設関連事業や令和元年台風第19号に係る災害関連の借入、旧庁舎等の解体に係る借入など多額の地方債を借入したことから、今後は地方債発行を可能な限り抑制するとともに、歳出削減策により各種基金の残高を増加させることで健全化の維持を図りたい。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

令和2年度における人件費の経常収支比率については、前年度から1.7ポイント増の27.1%となっている。会計年度任用職員制度の導入が主な増加の要因でもあるが、類似団体と比較すると2.8ポイント上回っている状況である。これは、類似団体と比較してラスパイレス指数は3.4ポイント下回っているものの、人口千人当たり職員数が1.4人と上回っているためである。今後においては、適正な人員配置を継続して実施するとともに、町税の徴収強化や企業誘致の早期実現など、経常一般財源の確保に努めていく。

物件費の分析欄

物件費の経常収支比率については、これまでも継続して抑制に取り組んできたことから類似団体平均16.3%と比較し3.5ポイント低い12.8%となっている。被災した学校や保育所等は災害復旧事業で施設の建替えをした一方で、多くの既存施設は建設から30年以上経過しており、施設整備の修繕費の増加が考えられる。今後は災害復旧・復興事業による施設整備後の維持管理なども追加されるため、指定管理制度や外部委託の推進を検討しながら、従来の物件費削減策を継続し、数値の改善を図っていく。

扶助費の分析欄

扶助費については、類似団体平均9.3%と比較し1.1ポイント低い8.2%となっている。しかしながら、私立保育園等への給付費や障害福祉サービス費など毎年増加しており、今後においても引き続き増加が見込まれる。削減が難しい扶助費ではあるが、単独事業の見直しを行うなど適正化を図っていく。

その他の分析欄

その他の経常収支比率については、繰出金、維持補修費、投資及び出資金、貸付金の合計であるが、当町においては繰出金がそのほとんどを占めており、前年度から6.8ポイント減の12.3%となっている。令和2年度から公共下水道事業が企業会計へ移行され、繰出金から補助費等となったことが主な要因でもある。しかしながら、各医療保険等関連特別会計への繰出金が増加となっており、一般会計と同様に、全体的な事業の見直しを行い、各種特別会計に対する繰出金の圧縮を図りたい考えである。

補助費等の分析欄

補助費の経常収支比率については、令和2年度においては、類似団体平均14.0%と比較し5.5ポイント高い19.5%となっているが、復興交付金事業完了に伴う返還金などが主な増加要因となっている。また、消防費やごみ処理費に対する一部事務組合に対する負担金の増額傾向となっている。今後においては、負担金の削減に取り組むとともに、各種団体の運営費補助金の見直しなども実施しながら補助費等の削減に努め、経常収支比率の改善を図る。

公債費の分析欄

公債費の経常収支比率については、以前より起債抑制策を図っていたことなどから類似団体を3.0ポイント下回る10.3%となっている。公債費自体は近年横ばい傾向ではあるものの、震災後においては災害公営住宅整備に係る多額の起債借入を行っていることから、今後は増加に転ずる見込みである。さらに、近年は庁舎建設関連事業や小中学校空調設備整備事業などにおいて多額の地方債を借入したことから、今後の通常事業においてはできる限り起債額の抑制に努めていきたい考えである。

公債費以外の分析欄

公債費以外の経常収支比率は、前年度比で2.2ポイント改善し79.9%となり、類似団体平均を上回ってはいるが、特に扶助費においては年々上昇傾向にある。削減が厳しい状況ではあるが、全体的な事業の見直しを徹底し、経常収支比率の改善に努めていきたい。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

目的別歳出においても、これまで東日本大震災からの復旧・復興事業により全体的に事業費が類似団体と比べて高い状況であった。土木費においては、類似団体でトップクラスの数値となっており、海水浴場等排水整備工事や被災地における仮設施設の用地取得などを実施したものの復興完了に伴い全体的に減少傾向となっている。また、役場庁舎・保健福祉センター建設事業が完了したことに伴い、衛生費においては減少となっているが、総務費は特別定額給付金給付事業及び事業完了による復興交付金の返還金などで増額となった。なお、消防費については、防災倉庫整備事業及び防災備蓄品などにより増加したものである。今後においては、ソフト事業への転換により、民生費が大きなウェイトを占めてくるものと思われる。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

当町においては、東日本大震災の津波被害により、特に普通建設事業が大幅に増加しており、ピークである平成25年度においては災害公営住宅整備事業、防災集団移転促進事業、いちご団地造成事業といった大規模事業を実施したことにより、住民1人当たりのコストが464,999円となるなど、類似団体でトップクラスの数値となっていた。避難道路や役場庁舎建設など新たに整備する施設が多いことから、これまで普通建設事業は上位に位置していたが、各種復興事業の完了に伴い、大幅な減となったものである。補助費等については、復興交付金事業の完了に伴う精算金(償還金)及び公共下水道事業が企業会計へ移行したことなどから前年度より増加となった。今後においては、震災関連事業の影響が小さくなるが、役場庁舎建設や災害公営住宅整備に係る多額の地方債の元利償還が始まり、令和5年度に8億7,900円とピークを迎えることから、公債費は増加に転ずる見込みである。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

当町の決算については、平成23年度以降東日本大震災からの復旧・復興事業が多額に上る一方、通常事業費については削減を行っている状況である。震災関連事業費の増大とともに事業の繰越も増加しており、特に、繰越事業において多額の不用額が発生している状況から平成28年度までは実質収支額が大幅に増加したところであるが、平成29年度においては、復興事業のピークを過ぎたことから、ある程度適正な事業の進捗管理がなされたことなどにより不用額が大幅に減少し、実質収支額が減となった。また、平成30年度に財政調整基金約13億円を取り崩し、災害公営住宅の今後の維持管理費用に充てるための基金【町営住宅管理運営基金】を新たに設置、積立したため、財政調整基金残高が大きく減少している。令和2年度においては、前年度に比べて財政調整基金の取崩しを抑えることができたが、今後老朽化した公共施設の補修、教育施設、給食センターなどの建替えも必要となることから、可能な限り事業費の精査を行い、健全財政の維持に努めていきたい。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の標準財政規模比については、当町においては全会計で黒字を維持していることからすべて正数での表記となっている。全体の黒字額の標準財政規模比については、分析を開始した平成19年度以降、毎年度15~20%の範囲内で推移してきたところである。しかしながら、平成23年度以降は、一般会計において震災の影響による通常事業費の減少及び予算規模の増大に伴う各種事業不用額の増加などにより実質収支比率が大きく増加した。近年においては上記要因の他に繰越予算における多額の不用額が生じており、平成28年度の一般会計における黒字が大幅に増大した。平成29年度以降においては、事業の適正な進捗管理が図られたことなどにより、不用額は減少している。昨年度分析では、令和2年度が震災復興計画最終年度との理由から大幅な数値変動を見込んでいたところであるが、一般会計をはじめ全会計においてほぼ横ばいとなった。今後は、震災復興事業により整備したインフラ事業等の維持管理係る支出が予想されることから適切な財源確保策を講じ、更なる実質収支比率の改善に努めたい。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

当町における実質公債費比率については、近年緩やかな下落傾向が続いていたが、令和2年度は、前年度比0.2ポイント増の5.0%となっている。構造の内訳を見ると、普通会計における元利償還金は平成22年度をピークに減少傾向が続いていたが、平成30年度から災害公営住宅建設事業債の元金の本格償還が開始したことなどにより上昇傾向となっている。また、令和2年度においては、主に亘理町公共下水道事業会計に係る公営企業債に対する元利償還金に対する繰入金が増加(12百万円)していることから、令和2年度の実質公債費比率の分子は全体で35百万円の増となった。今後においては、近年借入した庁舎建設事業などに係る地方債が多額になっていることから、通常事業分の地方債を可能な限り抑制し、実質公債費比率の上昇を抑えたい考えである。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

当町における将来負担比率については、平成24年度以降は(-)表示となっている。近年では、平成29年度をピークに一般会計等の地方債現在高の増加や充当可能基金の減少から将来負担比率の分子に係る数値は、増加傾向となっていたが、令和2年度は充当可能基金の増加により再び減少となっている。その内訳をみると、一般会計等に係る地方債残高は平成26年度において災害公営住宅整備等に係る起債借入が多額となり、一時的に大幅な増となったところであり、それ以降については震災関連事業の進捗に伴い、再び減少に転じたものであるが、令和元年度において役場新庁舎建設事業(関連事業も含む)に係る借入を行ったことや令和2年度では、令和元年台風第19号に係る災害関連の借入、旧庁舎等の解体に係る借入を行ったため増加している。公営企業債等繰入見込額については、公共下水道事業における地方債残高が減少していることから101百万円の減となっている。充当可能財源等については、財政調整基金等において、復旧・復興事業の完了に伴い震災関連事業が減少し取崩が減少したことなどから前年度比で937百万円の増となっている。以上の要因から将来負担比率の分子は前年度比で608百万円の減少となっている。今後においても、特に工業用地の早期売却を目指し、引き続き将来負担比率の改善に努めていきたい。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)財政調整基金で452百万円、町営住宅管理運営基金で485百万円の積立が増加した一方、復興事業の完了に伴う返還金として東日本大震災復興交付金基金を3,265百万円、地域コミュニティ復興支援などの事業として震災復興基金258百万円を取崩したことによる減少などが主な要因である。(今後の方針)・財政調整基金残高を標準財政規模の10~20%程度で維持する。・町全体の事業について、徹底した事務事業見直しを継続して実施し、基金の取崩しに頼らない財政運営に努める。

財政調整基金

(増減理由)・決算剰余金452百万円の積立・復旧・復興事業の完了により震災関連事業が減少したことによる取崩の減(今後の方針)・財政調整基金残高を標準財政規模の10~20%程度で維持する。

減債基金

(増減理由)・利子による積立(今後の方針)・今後当面の間、活用する予定はないものの、将来的には、1億円程度の残高になるように積立したい考えである。

その他特定目的基金

(基金の使途)・公共施設整備基金:老朽化した公共施設等の整備に活用・長寿社会対策基金:地域における福祉活動の促進、快適な生活環境の形成等、本格的な高齢化社会の到来に対応した施策を推進し、もって地域の振興と住民福祉の向上を図る・農業振興基金:農業及び農村の振興を図る・森林環境整備基金:森林の整備及びその促進に要する費用に充てる・農業復興地域還元事業基金:被災地域農業復興総合支援事業により整備した農業用施設及び機械を使用する農業者から寄附金を募り、亘理町の将来の地域農業の発展に向けた事業への活用・町営住宅管理運営基金:町営住宅及び共同施設の整備、修繕、改良及び管理並びに地方債償還に要する費用に充てる・震災復興基金:東日本大震災からの復旧復興事業を推進する(増減理由)・東日本大震災復興交付金基金:復興事業完了に伴い返還金としての取崩し・震災復興基金:被災者支援に係るソフト事業等の実施のための取崩しによる減・庁舎建設基金、学校整備基金:今後の老朽化に伴う公共施設全般の施設整備のため、新設した公共施設整備基金へ積換え(今後の方針)・復興の完了に伴い東日本大震災復興交付金基金は令和2年度で廃止済み、震災復興基金も今後廃止する予定・財政調整基金残高の目標額を上回るものについては、老朽化した施設の維持管理に備えるため、公共施設整備基金へ積み立てを行いたい考えである

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は37.3%と類似団体と比較しても大幅に低い水準となっている。これは東日本大震災の影響で多くの施設が被災したことにより、交付金などを活用して既存施設の建替えや新たな施設を整備したことによるものと考えられる。今後も老朽化した施設の建替えや大規模修繕が必要となるが、財政状況を踏まえた上での実施となるため、減価償却累計額の割合は大きくなるものと考えられる。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は類似団体平均を下回っているが、これは震災後において、財政調整基金及び庁舎建設基金への積立を行っていることや地方債の新規発行を抑制してきたことなどが主な要因として考えられる。復興事業の完了に伴い昨年度に比べて債務償還比率は小さくなっている。今後も自主財源の確保や人件費の抑制など経常経費の更なる削減に努めていきたい考えである。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

平成24年度以降、地方債現在高をはじめとする将来負担額が基金等の充当可能財源を下回っており、将来負担比率は算出されてない。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

平成24年度以降は、地方債現在高をはじめとする将来負担額が基金等の充当可能財源を下回っており、将来負担比率は算出されてない。しかしながら、将来負担額である一般会計等に係る地方債現在高は、役場新庁舎・保健センター建設や小中学校空調整備の大規模事業などの要因から増加傾向となり、令和2年度においては、105億9,939万円となっている。今後は災害公営住宅整備や役場新庁舎・保健センター建設などの地方債の償還も始まり、元利償還金は令和5年度以降、約9億3千万円台を推移していく。今後両比率が上昇していくことが考えられ、また老朽化した既存施設の大規模改修や建替えなどにより多額の一般財源を要する。そのため、これまで以上に公債費の適正化に取り組んでいく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率については、ほとんどの施設において類似団体平均と比較して低い数値となっている。これは東日本大震災で被災した学校や保育所について、災害復旧事業等で施設の建替えを行っていることや、東日本大震災復興交付金を活用して災害公営住宅を整備したことなどが要因と考えられる。なお、道路については、避難道路や新庁舎開設に伴う周辺道路の新設、耐用年数や実面積など固定資産台帳の見直しを行ったことから、類似団体を大幅に下回るものとなった。しかしながら、その一方で多くの既存施設は昭和40年~50年に整備したものが多く、建設から30年以上が経過し、老朽化が進んでいる状況である。今後、これらの施設は更新時期を迎えることから、更新費の平準化を図りながら施設の統廃合なども検討しつつ、施設の長寿命化を図ることで、公共施設等の計画的な管理・運営を推進するとともに、より効率的な財政運営に努めていきたい考えである。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率については、特に図書館、体育館・プール施設において類似団体平均と比較して高い数値となっている。図書館については、開設から20年以上が経過しており、設備等の老朽化が進んでいるため、施設の改修を検討するとともに、適切な維持管理を行いながら長寿命化を進めていきたい考えである。体育館・プールについても、開設から35年以上が経過している施設がほとんどである。プールについては大規模な改修工事を実施したが、体育館は利用状況や維持管理コストなどを踏まえ、施設の統廃合などについても検討していきたい考えである。なお、庁舎と保健(福祉)センターについては、建替えを実施したことに伴い、類似団体と比較して低い数値となっている。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額のうち有形固定資産の割合が87.4%と全体の4/5以上を占めている。これらの資産は将来の支出(維持管理・更新等)を伴うものであることから、前年度同様に公共施設等総合管理計画に基づき、施設の集約化・複合化など公共施設等の適正管理に努めていきたい考えである。また、令和2年度においては、公共施設等整備費支出に伴う資産増加に加え固定資産台帳の見直し(資産の耐用年数や道路面積の見直し、調査判明による公営住宅の追加等)を行ったため、資産総額が前年度から3,874百万円の増加となった。なお、負債総額については前年度から24百万円増加の微増となっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等の経常費用は17,620百万円となっている。内訳としては業務費用が8,347百万円(全体の47.4%)、移転費用が9,273百万円(全体の52.6%)となっている。業務費用については、減価償却費や維持補修費を含む物件費等(4,814百万円)の割合が高く、移転費用については、補助金等(5,767百万円)の割合が高くなっている。補助金等については、特別定額給付金給付事業を実施したことにより前年度から3,755百万円の増加となっているが、特別定額給付金給付事業については、臨時的経費であるため令和3年度以降の補助金等は、前年度以前の金額と同水準になるものと考えられる。物件費等については、震災復興事業により整備した公共施設が多いことや既存の公共施設等の老朽化の状態を踏まえると今後も増額基調となるものと考えられあるため、施設の集約化・複合化事業に着手するなど、公共施設等の適正管理、維持管理経費等の縮減に努めていきたい考えである。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(14,292百万円)が純行政コスト(17,187百万円)を下回っており、本年度差額、本年度純資産変動額はともに▲2,895百万円となった。前年度末純資産残高から本年度純資産変動額を差し引いた本年度末純資産残高は、58,881百万円となったところである。震災後落ち込んでいた税収も徐々に回復しているものの平成28年度から令和2年度にかけて連続して本年度純資産変動額は、マイナスで推移しているところである。特に令和2年度については、震災復興事業の完了に伴い地方交付税が前年度から減少(1,299百万円)したため、純資産変動額が大きくなっている。今後においては、公共施設等の適正管理、維持補修費等のより純行政コストの縮減を図るとともに、自主財源の確保に努めていきたい考えである。なお、前年度末純資産額残高について令和2年度に固定資産台帳の見直しを行ったことから令和元年度期末残高と令和2年度期首残高に差異が生じている。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は▲742百万円であったが、投資活動収支については、震災復興事業の進捗(前年度において鳥の海公園多目的広場整備工事等のインフラエ事や新庁舎・保健福祉センター建設工事が完了)に伴い公共施設等整備費支出が前年度から減少(4,075百万円)しており、1,081百万円の黒字となった。令和3年度以降においては、町の震災復興事業が完了となるため投資活動収支は、本年度と同水準並みで推移するものと思われる。また、財務活動収支については、地方債の地方債発行収入が償還額を下回ったため▲9百万円となっている。各収支を合わせた本年度資金収支額は330百万円となっており、本年度末歳計外現金残高を合わせた本年度末現金預金残高は1,319百万円となっている。今後においては、前述のとおり震災復興事業の完了により公共施設等整備費支出は減少していくもの見込まれ、投資活動収支は、本年度並みを維持するものと予想されるところであるが、引き続き国県補助金の積極的な活用などにより財源の確保を図るとともに、事業継続の可否や事業の妥当性について事務事業見直しを行うことなどにより業務支出の削減に努めていきたい考えである。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額(歳入額対資産比率)は、前年度に引き続き類似団体平均を上回っているが、これは本町において昭和40~50年代に多くの施設が整備されており、現在の人口に対して保有する施設数が多い事が要因と考えられる。これらの施設は、既に30年以上が経過してるものが多く、老朽化が進んでおり、今後一斉に更新時期を迎えるところである。また、有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っているものの、今後は震災復興事業による避難道路等の減価償却額が計上となるため、減価償却率は上昇傾向になるものと考えられる(令和2年度は、固定資産台帳の見直し(各資産の耐用年数や道路面積の見直し、調査判明による公営住宅の追加等)を行った結果、減価償却率が減少している)。将来の公共施設等の修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画に基づき、今後40年間の取組(概ね10年単位の見直しを基本)として公共施設等の集約化・複合化を進めるなどして、施設保有量の適正化に取り組んでいきたい考えである。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似団体平均値を上回っている状況であるが、純行政コストに対する財源不足から平成28年度から令和元年度にかけて純資産額は減少傾向となっている。令和2年度においては、固定資産台帳の見直しにより純資産比率が増加したものの純資産額変動額については前年度に引き続きマイナスとなっているところである(▲2,895百万)。将来世代負担比率は、本町の地方債残高のうち特例地方債である臨時財政対策債の割合が半数以上を占めていることから類似団体平均値と比べて下回っているが、令和元年度に新庁舎・保健福祉センター建設に係る借入等を行ったことからこれまでの下降傾向から一転して増加となったものである。令和2年度については、地方債は前年度と横ばいであるものの公共施設等整備費支出に伴う資産増加に加え固定資産台帳の見直しにより固定資産額が増額になったため、将来負担比率は改善したものである。今後も道路等のインフラ整備に係る地方債の発行が見込まれているところであるが、地方債の発行等の適正な規模を維持しながら将来世代の負担が大きくならないよう努めていきたい考えである。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回っているが、これは通常事業に加えて、物件費等の費用が増加していることや、社会保障給付費が年々増加傾向にあることが要因になっていると考えられる。令和2年度の純行政コストは、移転費用の補助金等が特別定額給付金給付事業の実施により前年度から3,755百万円の増額になったことや東日本大震災復興交付金の返還が生じたことによりその他業務費用が289百万円の増額となったため前年度から4,007百万円増加している。令和3年度においても、震災復興事業の完了に伴う東日本大震災復興交付金の返還が生じるため一時的に純行政コストが増加するものと思われる。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

これまでの基礎的財政収支は、東日本大震災からの復興のため多額の基金を取り崩してインフラ整備等を行っていることから平成28年度から令和2年度の全ての年度において類似団体平均値を下回っている。平成29年度の基礎的財政収支は改善したものの平成30年度から令和元年度にかけて再び悪化しており、特に令和元年度の基礎的財政収支は、東日本大震災復興交付金基金等に依存するインフラ整備に加えて新庁舎保健福祉センター建設に係る公共施設等整備費支出が計上されたため、4,969百万円と大幅なマイナスとなったところである。令和2年度の基礎的財政収支については、震災復興事業の進捗に伴い公共施設等整備費支出が抑えらたため前年度から改善となっている(▲4,969百万円▲2,192百万円)。今後は、震災復興事業の完了に伴い公共施設等整備費支出は減少していくものと見込まれ、本町の基礎的財政収支は、改善傾向になるものと考えられる。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

令和2年度は、経常収益のうち使用料及び手数料は、令和元年度に対して減少(▲9百万円)し、その他においても減少(▲47百万円)となっている。経常費用については、主に移転費用が3,719百万円増加したことにより前年度から4,420百万円増加したものである。受益者負担比率は前述のとおり、前年度から経常収益が減少し、経常費用が増加したため減少となっており、類似団体平均値との比較においても前年度同様に下回っている状況である。今後においても物件費等は増加傾向で推移していくものと予想されるため施設の集約化・複合化事業に着手するなど、公共施設等の適正管理、維持管理経費等の縮減に努めていきたい考えである。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,