経営の健全性・効率性について
平成10年に事業着手、平成18年10月から一部供用を開始し順次整備を進めており、平成31年4月に地方公営企業法を適用し公営企業会計となりました。供用開始して13年が経過し、下水道普及率は36.5%(前年度比0.7%増)と未だ整備途上の段階にあります。このため、下水道への接続件数は徐々に増えつつも、まだ有収水量が少なく、流域下水道によるスケールメリットが発揮されていません。⑤経費回収率は58.12%と低く、⑥汚水処理原価は類似団体よりも106.6円高い状況です。流域下水道のスケールメリットを発揮させるためには、早期接続を働きかけ⑧水洗化率(73.26%)を上げて有収水量を増加させ、使用料収入を確保する必要があります。また、整備開始当初の大規模事業時の起債の償還が続いており④企業債残高対事業規模比率は類似団体より低いものの855.36%となっています。多額の起債償還により流動負債が膨らみ③流動比率は22.18%で類似団体より低い状況です。起債の償還と併せて利息の支払いも続いており、その財源として一般会計繰入金に頼っている状況で、①経常収支比率が100%を超えて112.74%となったのは、この多額の一般会計繰入金により経常収益が確保されたことによるものと言えます。
老朽化の状況について
矢部川流域関連公共下水道事業の構成市であるため、処理場等の施設は保有していません。管渠やマンホールポンプについては、事業開始からまだ日も浅く、法定耐用年数(50年)を経過するものはなく、現段階では深刻な老朽化の状況にはありません。そのため、①有形固定資産減価償却率は2.25%となっています。今後は、将来的な更新費用の増加に備え、維持管理における適正な点検や整備を行いながら、ストックマネジメントの導入により、維持修繕の計画的、効率的な運用に努めていかなければなりません。
全体総括
今後も引き続き、建設投資と地方債の償還に多額の費用を要することとなるため、世代間負担の平準化に配慮した投資と財源確保の計画的運用が重要となります。整備においては、整備効率の高い地区を検証しながら計画実施していくと同時に、供用開始区域における接続をさらに促進させ、使用料収入及び有収水量の増加を図っていく必要があります。これにより、汚水処理原価の低下、経費削減が見込めます。そのため、地元説明会の開催や戸別訪問、各種イベント等により、下水道事業への理解を住民に広めると共に、補助金や融資制度の周知を行う等早期接続に向けた取り組みを行います。