経営の健全性・効率性について
汚水処理原価が高く、経費回収率が低い状況である。近年、浄化槽設置時の人槽算定基準も緩和はされたが、山間地域には、一人暮らしの高齢者が多くなってきており、建築年数の長い家屋等は特に延面積も大きく、整備促進事業により、管理基数は年々増加している為、料金収入に対して、維持管理費の増加が著しい。収益的収支比率が、平成24年度~25年度に減少しているのは、整備開始当初からの躯体で7~8年を経過しているものも多く、送風機(ブロワー)等の消耗品の交換や、本体修理等の維持管理経費が流動的に増加したものと考えられる。経費回収率は常に類似団体平均値を下回っており、依然として起債等の借入金への依存傾向が高く、使用料金の値上げ等が必要と思われる現状だが、維持管理(検査・清掃・修理等)への、必要経費の大幅な削減等は簡易なものではない。また、使用料についても公共下水道事業及び農業集落排水事業との料金算定の公平性の関係もあり、改善へ向けての効果的な施策の思考が課題である。施設利用率については、平均値を大きく下回っているが、浄化槽については各個別での処理となるため、この指標の限りではない。水洗化率について、合併処理浄化槽への接続は原則、水洗化としている為、100%となっている。
老朽化の状況について
躯体はプラスチック(FRP)製であり、老朽化の心配は、ほぼ問題ない。また、浄化槽は単体での整備であるため、管渠の改善等は、殆ど必要ない。しかし、ブロワーの消耗部品など経年劣化による修繕・交換等が今後増える見込みであるため、収益収支の状況もみながら、適切な維持管理を行っていく。
全体総括
汚水処理原価を下げ、料金回収率及び水洗化率を上げる必要があるが、高齢化、人口の減少のため、安易な料金改定は行えない。また、公共下水道事業、農業集落排水事業、浄化槽事業の使用料は公平性を保つために統一している。今後、適切な料金設定を行うとともに、過疎化・高齢化に対応した、施設の維持管理方法も検討し、経費の節減も行っていく。平成32年度までに公共下水道事業の法適化への移行についても検討が必要であり、検討するに当たり農業集落排水事業、浄化槽事業も合わせての検討が必要と考える。