経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率について、事業場排水の受入れによる使用料収入の増で総収益は増加したものの、事業場排水受入れに伴った維持管理費の増加や長期債償還金も増加しているため、一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない厳しい状況である。④企業債残高事業規模比率について、企業債残高の減少によって平均値より低くなった。しかしながら、実態としては処理施設等に要した多額の建設投資額に対し、公共下水道接続率の低迷が続いており、使用料収入が追いついていない。接続率の向上に努め、更なる使用料収入の確保を図れるかが課題となる。⑤経費回収率について、事業場排水の受入れにより使用料収入が増加したものの、同割合で汚水処理費も増加したため横ばいの状況。しかしながら、その他一般家庭等による大幅な収入増には至っていないため、引き続き使用料値上の検討と経費削減に努める必要がある。⑥汚水処理原価について、前述のとおり事業場排水の受入れにより有収水量が増えたものの、同割合で汚水処理費も増加したため横ばいの状況である。⑦施設利用率について、整備区域の拡大とともに汚水処理水量も増加しているため当該値は上昇している。施設の増改築にあたっては将来の汚水処理人口の減少等を踏まえ適切な施設規模を検討していく必要がある。⑧水洗化率について、ほぼ横ばいの状況にある。安定した歳入確保と公共水域の水質保全のため、地域にあった処理方法の検討、水洗化促進の啓発が課題である。
老朽化の状況について
当事業の着手時に埋設した管渠で現在22年経過しているが、管渠の耐用年数が50年であることを考えると、老朽化による管渠改善・更新は現時点においては必要ないものと思われる。類似団体平均値との乖離は大きいが、前述のとおり当町の実情を踏まえると特に問題はないと考えられる。しかしながら、管渠の老朽化は避けられないものであるため、処理施設・設備等を含めた総合的な維持管理計画の策定や改築・更新に係る財源の確保が今後の課題となる。
全体総括
当事業は、平成10年度から着手し、上富田浄化センターが完成した平成19年度に供用開始となった。現在、全体整備計画面積291haに対し、整備済面積が119ha、整備進捗率41.0%となっている。処理施設内の設備の老朽化により維持管理費が年々増加傾向にあることから町の財政を圧迫している状況である。そのため今後、町の財政負担や将来の処理人口の減少等を勘案し、整備計画区域の縮小や処理施設の統廃合も視野に全体計画・事業計画の見直しが必要となる。下水道への接続率の向上に努め、安定した歳入確保と更なる運営の効率化を進め、経営健全化を図る必要がある。