経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については100%を上回り、使用料収入や一般会計からの繰入金等で維持管理費等を賄えており、単年度の収支において黒字である。平成30年4月1日からの地方公営企業法適用のため、経年比較はできないが、類似団体との比較において、ほぼ同程度の水準となっており、現時点の経営状況は問題ないレベルである。今後も100%を維持できるよう、引き続きコスト削減等の経営改善に取り組んでいく必要がある。③流動比率についても平成30年4月1日からの地方公営企業法適用のため、経年比較はできないが、100%を下回っており、また類似団体と比較しても低い水準にある。この要因は、流動負債の約75%を占める建設改良費等に充てられた企業債の影響によるところが大きい。この建設改良費等に充てられた企業債は減少傾向にあるので、今後の推移に注視していく必要がある。④企業債残高対事業規模比率についても、経年比較はできないが、類似団体との比較においてはやや高い水準にある。これは、事業開始当初に集中して行った投資について、多額の借り入れをしており、その後の投資についても、町単独費部分はほぼ起債で賄っていることにより、企業債残高が多額になっているためであるが、近年、普及率の高まりによる新規投資の規模縮小に伴い、新たな借り入れ額も徐々に減少し、企業債残高も減少傾向にある。今後はできる限り新たな起債の発行を抑制し、将来の更新投資に備え、財源を確保する必要がある。⑤経費回収率について、100%を下回っており、汚水処理に係る費用を使用料収入で賄えていない。類似団体との比較においてもやや低い水準にあり、使用料収入とその他の収入のバランスについての検討が必要である。⑥汚水処理原価については、類似団体と比べても良好な水準にある。これは、以下の理由により、維持管理費等のコスト節減につながっていることが要因として考えられる。(1)地理的に平坦ではあるが、処理区域が狭くすべて自然流下となっているため汚水ポンプ場を有していない。(2)流域関連公共下水道として加古川下流流域下水道に接続しているので、終末処理場を有していない。今後も汚水処理に係るコスト節減に努めるとともに、より多くの有収水量を確保することにより、汚水処理原価について良好な水準を維持する必要がある。⑧水洗化率については、類似団体との比較において、ほぼ同程度の水準を維持している。下水道使用料の増収の観点から、今後も100%を目指して未水洗化世帯の下水道への接続促進に努める必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、平成30年4月1日からの地方公営企業法適用のため、経年比較はできない。類似団体との比較において、良好な水準にあるように見えるが、これは、法適用時における固定資産台帳への資産登録方法について、法適用以前に取得した資産を登録する場合、残存価格を取得価格として台帳登録し、減価償却累計額については「0」としていることから、老朽化を正確に反映した数値とは言い難く、その点を考慮する必要がある。②管渠老朽化率及び③管渠改善率について、管渠は昭和63年度の施工以来、最長のものでも経過年数30年程度であり老朽化はそれほど進んでおらず、法定耐用年数を経過した管渠も存在しない。平成28年度に、わずかに存在する陶管について、管更生工事による更新・改良工事を実施した(施工延長0.06km)が、平成30年度においては管渠の更新は行っていない。今後は、管渠の定期的な点検・調査を実施し、できる限り長寿命化を図りながら、将来の大規模更新に備え適切な維持管理に努める必要がある。
全体総括
平成30年4月1日からの地方公営企業法適用のため、ほとんどの項目において経年比較はできないが、経営状況については、類似団体と比較してもそれほど遜色なく、おおむね良好な数値になっていると言える。ただ、経常収支比率が100%を超えているにもかかわらず、経費回収率が100%に達していないという状況において、現状では、使用料以外の収入(一般会計からの繰入金等)に依存している部分が大きいと言える。将来に向けて、安定した持続可能な経営基盤を構築していくために、平成30年度に策定した経営戦略に基づき、今後の資産更新、使用料水準及びその他の収入とのバランス等について検討していくとともに、現状の水準を維持しながら、更なる経営改善に向けた努力をしていくこととしている。