経営の健全性・効率性について
本市の農業集落排水事業の大町処理区は山間部にあり、処理場は河川の上流にあって、処理区内には多数のマンホールポンプ場があります。そのため、下水道の整備に要する建設改良費が割高で、資本費が高額となり、企業債残高も高額となっています。一方、下水道への接続率を示す水洗化率については80%近くになっており、類似団体平均値との比較では高く、水洗化が進んでいます。しかし、地形的要因から資本費が高額であり、マンホールポンプ場の維持管理費もかさむことから、汚水処理原価は高額になっています。そのため、下水道使用料によって賄うべき汚水処理費を賄うことができず、経費回収率については30%程度にとどまっています。
老朽化の状況について
本市の農業集落排水事業については、供用開始から20年以内であることから、管渠の更新は行っていません。一方、処理場等の施設については耐用年数を過ぎて老朽化が進んでいるいますが、平成34年度を目途に公共下水道事業への統合計画があるため、処理場施設等については不要になることから、必要な修繕のみを行っています。
全体総括
本市の下水道事業では、平成20年度から包括的民間委託により維持管理費の削減を図るとともに、平成22年4月1日から下水道使用料を改定し、全体で約12%の値上げを行って、経営基盤の強化を図ってきました。農業集落排水については平成34年度を目途に公共下水道への統合を計画しており、処理区を統合することで、本市の下水道全体の維持管理費の削減を図ってまいります。また、経営の改善に向けて昨年度策定しました経営戦略を軸に、地方公営企業法の財務規定の適用に向けた資産調査及び評価を行い、平成31年度からの企業会計移行を進めています。これにより、減価償却費を含めた正確な費用を把握することで経営状況を明確化し、経営改善につなげてまいります。