経営の健全性・効率性について
平成28年度に実施した料金改定等の影響により、経常収支比率が9.9ポイント上昇して113.45%となった一方、流動比率は1.97ポイントとわずかな増加にとどまり30.21%となりました。金額に換算すると、料金改定による収益の増加が約3億円であるのに対し、流動資産の増加額は約1億円、平成28年度末の資金残高は約4億円という現状です。これは、黒字ではあるものの、企業債の償還が経営を圧迫して資金的に厳しい状況が続いていることを示しています。企業債残高対事業規模比率を見ると、企業債残高は毎年度確実に減少(償還額も減少)し、今後は企業債の償還が経営を圧迫する恐れは減少していく見込です。しかしながら、他会計借入金(営業運転資金に充てるための借入金)9億7,000万円の返済が平成29年度から始まるため、今後とも資金的に厳しい状況は続くと見込まれます。なお、平成27年度に汚水処理原価が大きく減少しているのは、平成27年度の一般会計からの繰入金の処理について、繰入金の一部を分流式下水道に区分して原価から控除しているためです。平成28年度は処理を再考し、平成26年度までの計算方法(分流式下水道として区分しない計算方法)に戻しています。平成26年度と同じ方法で平成27年度の汚水処理原価を計算をすると116.99円となり、連続して減少していることがわかります。
老朽化の状況について
管路老朽化率は0であり、老朽化している資産はありません。昭和50年代に開発した資産が多く、今後10年程度は老朽化が問題になることはないと考えています。
全体総括
老朽化に関する再投資が始まる10年後までに、収支に関する構造改革が必要です。平成28年度に実施した18.5%の料金改定を足掛かりとして更なる費用削減・収益増加に努め、10年以内に経費回収率を100%以上とします。施設利用率に数値が入っていないのは本市が下水処理場を所有しておらず、処理を外部に委託しているためで、そのことから経費削減の幅は限られていますが、平成28年度以降は新たに策定した「宝塚市下水道ビジョン2025」及び「宝塚市下水道事業経営戦略」に基づき、管渠の更新投資や老朽化対策、経営基盤の強化等に計画的に取り組みます。