経営の健全性・効率性について
当市は、水洗化率が約99%の中、新たな下水道使用料収入の増加が見込まれない中、大口使用者の使用水量が減少し、また核家族化の増加により世帯当たりの使用水量についても減少傾向にあり需要構造の変化が見られています。平成21年度に地方公営企業法の一部適用を実施し、資産・負債・資本を整理したうえ、適正な料金原価を算定し、平成23年度に使用料改定を実施しました。結果、経常収支比率、経費回収率が好転し、また平成24年度に累積欠損金を解消するなど、経営の健全度は高まりつつあります。一方で、これまで下水道施設の建設改良費の財源については、企業債の発行に頼ってきたことから、短期的な債務に対する支払能力を表す流動比率や料金収入に対する支払能力を表す企業債残高対事業規模比率が類似団体と比べ下回っています。経営改善による健全経営を維持し、自己財源の確保による企業債の発行抑制により企業債残高を抑制していくなど、中長期を見据えた資金計画に基づく資金管理を行っていく必要があります。
老朽化の状況について
類似団体と比べ、有形固定資産及び管渠の老朽化率が低いですが、将来の大量更新を見据え、第1次長寿命化計画(H24~H28)に基づく汚水管渠更生工事を国庫補助金を活用し、積極的に実施するなど、計画的な改築に努めた結果、管渠改善率は上昇傾向にあります。また、鶴田雨水ポンプ場など(他2ポンプ場)の更新時期も迎えており、平成24年度に策定した、長寿命化計画により、平成28年度より3ヶ年を費やし改築更新工事を進めていくとともに、他2ポンプ場についても計画的に改築していく予定です。
全体総括
経営の健全性については、先述のとおり平成21年度の法適化及び平成23年度の使用料改定により、一定保たれつつあると考察しますが、今後は経営改善によって捻出された資金を企業債償還金に充当しつつ、将来見込まれる管渠の大量更新を見据え、国庫補助金などを活用した計画的な改築工事を引き続き進めていくための経営戦略を早期に策定する必要があります。