経営の健全性・効率性について
当市の平成26年度末における下水道普及率は99.46%となり、下水道管布設延長は983㎞、4つの浄化センターと6つのポンプ場を有する規模となっている。借換えにより償還元金が増えた平成23年、24年を除くと収益的収支比率、経費回収率共にほぼ100%に近い数値で推移しており、企業債残高についても計画的な償還により年々着実に減少している状況から概ね健全な経営を維持しているといえる。しかしながら、人口の減少や節水機器の更なる普及により今後使用料収入の増加が見込めない状況において、引き続き健全経営を続けていくためには維持管理費の削減や費用負担の適正化を検討する必要がある。維持管理費の削減については、これまでも施設の効率的な運転、民間委託の導入による業務の効率化や組織の効率化等を行ってきたが、類似団体や全国平均と比較すると汚水処理原価が高い状況にある。これは、高低差が少なく東西に長い当市の地形的要因により、処理施設を複数有している影響と考えられる。今後は施設の統廃合等により施設規模や施設機能の最適化に取り組む必要がある。
老朽化の状況について
管渠延長983㎞のうち、標準耐用年数50年が経過したものは約200㎞に達しており、今後この延長は急速に増加していく。また、当市で最初に建設された船上浄化センターは昭和46年の運転開始から約45年を迎えようとしている。これら膨大な施設をすべて標準耐用年数で更新することは費用面・人材面等から現実的でないため、点検・調査等によってその状態を適切に把握した上で、長期的な改築の需要見通しを検討し、計画的かつ効率的な老朽化対策を図る必要がある。
全体総括
下水道使用料収入の減少や施設・設備の老朽化など、経営環境は厳しさを増している。長期的に安定した事業運営を行うため、経営基盤の強化が求められており、今後、適切な維持管理や更新を行うためには長期的な経営方針「経営戦略」を策定し、計画に基づき効率化、経営健全化に取り組むことが必要である。また、現在の特別会計では全体像が分からず将来の収支予測も困難となるため、事業の財政状態や経営成績を明確に把握することで詳細な経営診断が可能となる公営企業会計を平成28年度から導入し、より健全な事業運営を実施する。