経営の健全性・効率性について
平成28年度に公営企業法適用(一部適用)後、4回目の決算である。平成30年度と比較して、③流動比率は年度当初に大口の建設事業費の支払を行ったため手元資金の減少により、1.79ポイント減少したが、④企業債残高対事業規模比率は企業債の減少により、61.86ポイント改善した。しかしながら、類似団体平均値と比較すると、依然として、③流動比率は低く、④企業債残高対事業規模比率はやや高い。また、平成30年度と比較して、⑤経費回収率は0.43ポイント増加し、⑥汚水処理原価は0.83円減少しており、経営の効率性はわずかに向上している。なお、④企業債残高対事業規模比率が高いのは、本市の下水道整備のピークが昭和60年頃で類似団体よりも遅く、当時の企業債の残債が残っている事が原因である。また、③流動比率が低いのは、前述の企業債の残高が相応にあり、流動負債に含まれる企業債の金額が流動資産を超えているためである。⑥汚水処理原価が減少しているのは、企業債残高の減少により、汚水処理にかかる経費も減少しているためであり、これに連動して⑤経費回収率は徐々に増加している。
老朽化の状況について
平成30年度と比較して、①有形固定資産減価償却率は3.22ポイント増加し、②管渠老朽化率は耐用年数を超えた管渠の増加により1.63ポイント増加した。類似団体平均値と比較すると①有形固定資産減価償却率、②管渠老朽化率及び③管渠改善率は平成30年度と同様に低い。①有形固定資産償却率が低いのは、法適用後4年しか経過しておらず、既に法適用していた類似団体と比較して決算書上償却が進んでいないためである。また、②管渠老朽化率及び③管渠改善率が低いのは、本市の公共下水道整備のピークが昭和60年頃であり、類似団体よりも遅いためである。③管渠改善率は0.00%となっているが、平成30年度より「高槻市下水道施設ストックマネジメント計画」に基づき、管路施設の巡視点検やマンホール蓋の更新工事を実施する等施設の長寿命化対策を行っている。
全体総括
類似団体平均値よりも高い④企業債残高対事業規模比率については、企業債残高が年々減少することにより、改善している。汚水に係る下水道整備は概成を迎えているが、下水道施設の老朽化対策や災害リスクなどに伴う事業費の増大が見込まれる。その一方で、人口減少や節水意識の高まり等により使用料収入は減少傾向にある。このような厳しい経営環境をふまえ、平成29年度より「高槻市下水道等事業経営計画」(経営戦略)に基づき、効率的で持続可能な経営に取り組んでいる。また、平成30年度より「高槻市下水道施設ストックマネジメント計画」を開始し、この計画に基づき、予防保全型の維持管理や施設の長寿命化対策を行うことでコストの縮減を図っていく。