経営の健全性・効率性について
単年度収支を表す「①収益的収支比率」は、黒字であることを示す100%を下回り75%前後で推移しています。これは事業規模に対し地方債償還金の割合が高いことが影響しています。「②累積欠損金率」、「③流動比率」については、法非適用企業であるため該当数値がありません。当市の下水道事業は、供用開始後23年経過しましたが、国等の補助の範囲内での整備に努め、それに比例した企業債の借入れを行っているため、企業債残高が少なく「④企業債残高体事業規模比率」は類似団体に比べ低く抑えられています。一方、その影響で管渠整備が進んでいないことから使用料収入が伸びず「⑤経費回収率」は低くなり、流入量も増えていないため最低限の処理施設であるにも係わらず「⑦施設利用率」が低くなっています。また、薬品などの直接的な汚水処理費は抑えられてはいますが、全体の維持管理費や処理場の資本費があることから「⑥汚水処理原価」は類似団体と比べ高いものとなってます。「⑧水洗化率」は、82%前後で推移しております。これは年度末に処理区域の拡大の公示をおこなうことから算定時に接続が難しい区域が生じていることが影響しています。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」、「②管渠老朽化率」については、法非適用企業であるため該当数値がありません。「③管渠改善率」は、当該年度に更新した管渠延長の割合を表した指標で、管渠の更新ペースや状況を把握できるものですが、当市の管渠については、最も古いものでも23年と新しく更新時期に至っていないため、該当数値がありません。しかし、下水道管の老朽化は年々進んでいくため、今後はストックマネジメント手法を取り入れた更新計画を策定し、施設の適正な維持管理に努めていく必要があります。
全体総括
当事業は、施設も新しく老朽化も進んでいない状況ですが、施設能力に対し整備が進んでいないため、施設利用率が低くなり汚水処理原価は高いものとなり、料金収入にも結びついていないため経費回収率も低いものとなっています。今後は、効率的な整備をすすめるとともに、運営体制のあり方や投資のあり方を検討し、経営戦略やストックマネジメント手法に基づく更新計画の策定をすすめる必要があります。