経営の健全性・効率性について
経営の健全性・効率性に係る各指標の数値は、平成28年度からある程度の向上を示しています。類似団体平均値と比較しても遜色のない水準となっており、これらの指標からは、経営状況の改善に前進が見られたと考えられます。主な要因は使用料収入の増加と汚水処理原価の減少が挙げられます。前者については、平成28年の7月に使用料改定を実施しており、平成29年度は当初から改定後の料金体系による使用料を徴収できたことと、新規の整備等によって新たに下水道に接続した世帯が増加したことによるものです。後者については、汚水処理に要する経費の算定において、一部の費目の算出方法に係る見解が示され、それに基づいた算定の結果、上記の経費が減少したことによるものです。経費全体の減少に伴って、汚水1立方メートルあたりの処理単価を示す汚水処理原価も減少しています。以上のように、経営状況は改善傾向にあるものの、単年度の収支を示す収益的収支比率は依然として100%に満たない状況です。また、今後3年程度は地方債償還金の増加が見込まれるため、その財源確保と、安定した使用料収入を維持するための方策検討が課題となります。
老朽化の状況について
当町の下水道施設は、整備開始が平成3年度、供用開始が平成11年度であり、町が整備した管渠については、供用からの経過年数が耐用年数と比較して浅いこともあり、現時点では、老朽化状況の調査等は実施しておりません。しかし、集中浄化槽地区を下水道の使用開始に合わせて移管された施設については、供用年数が40年を超えているため、平成30年度に本管のテレビカメラ調査を実施し、ストックマネジメント計画の策定を予定しています。
全体総括
今後の長期的な見通しとして、人口の減少に伴う使用料収入の漸減が想定されます。安定した経営を持続するためには、類似団体平均を下回る水準で推移している水洗化率の向上が課題であると考えられます。引き続き、接続勧奨の手法等について検討を進めます。一方で、使用料については、料金水準の適切性を示す経費回収率がほぼ100%に達していることから、住民にとって過度な負担とならないよう配慮が求められています。今後の見直しについては、社会、経済情勢、近隣自治体の動向等も踏まえて慎重な対応が必要と考えられます。