経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は81.75%となり、前年度と比較して大幅に増加しました。これは、平成30年度に下水道使用料の料金改定を行ったことによるものです。しかしながら、依然として指標である100%を下回っており、単年度収支は、使用料収入以外の財源に依存している状態が続いています。企業債残高対事業規模比率は、平成29年度に若干増加したものの平成30年度は減少に転じ、経年比較においては減少傾向にあるといえます。企業債の未償還元金及び利息が減少し、料金収入に対する企業債残高の割合が減少しているためです。経費回収率は、依然として指標の100%を下回っている状況が続いており、汚水処理に係る費用が使用料以外の財源で賄われていることがわかります。水洗化率は、既に100%近くまで達しており、今後は横ばい状態が続くと考えられます。下水道事業経営の健全化に向け、現状と課題を把握しながら経営戦略を策定し、使用料の適正負担及び経費削減に取り組んでいく必要があります。
老朽化の状況について
管渠改善率は、類似団体と比較すると極めて低い状況です。今後、布設から50年を超えた管の延長が増加することが見込まれ、現在の管渠の更新ペースでは全ての管を更新するまでに長期的な時間と投資が必要となるため、老朽化している管のうち、早急に対策が必要な管路を洗い出し、優先順位をつけて順次更新していく必要があります。
全体総括
下水道事業の経営にあたっては、受益者負担の原則に基づき、汚水処理に係る費用は全額下水道使用料で賄うこととされています。本市は、平成30年4月に下水道使用料の改定を行いました。しかしながら、収益的収支比率や経費回収率は改善したものの、依然、指標の100%に達しておらず、使用料収入だけでは汚水処理に係る費用を賄えていない状況です。今後は、引き続き経費削減に努め、地方公営企業法適用により経営の健全性や計画性・透明性の向上を図るとともに、景気状況等を考慮しながら、下水道使用料の見直し等を検討していきます。