経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、100%を超えました。企業債の償還が順調に進んでいることもありますが、平成30年度は、平成31年4月1日から公営企業会計に移行したことで、打切決算になったことも影響しています。これまで出納整理期間内に支払っていた金額が未払金となったため、収支が一時的に黒字になったともいえます。この数値については、公営企業会計としての初の決算を迎える令和元年度の決算数値に注視する必要があります。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体と比べて低い比率に留まっており、企業債残高も年々減少しています。⑤経費回収率は、企業債の償還が進んでいることから、年々改善されてきています。平成30年度は100%を超えましたが、打切決算のため、汚水処理に要する経費(支出)の支払額が減少したことにより、一時的に100%を超えたものと捉えています。⑥汚水処理原価についても、打切決算による処理費用の支払額が減少したことにより、大きく下がりました。⑧水洗化率については、年々上昇しており、100%に近づいています。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、昭和49年に供用を開始しており、今後、標準耐用年数50年を経過する管きょが出てきます。これまでは、管きょの調査や清掃等による維持管理が主で、大規模な更新等は行ってきていませんが、老朽化が進む下水道ストックの適切な維持管理、改築等を行っていくため、ストックマネジメント計画の策定に向けての取り組みを開始しています。
全体総括
平成29年度決算の数値との比較で改善された①収益的収支比率、⑤経費回収率、⑥汚水処理原価については、公営企業会計移行のため、打切決算による、一過性の感は否めないものの、企業債の償還が進んでいることから、①収益的収支比率や⑤経費回収率は改善してきています。しかし、使用料収入だけでは汚水の処理費用を賄いきれておらず、一般会計からの繰出金に依存している状態となっています。今後ストックマネジメント計画を策定し、改築・更新工事を進めることで、多額の費用が必要となります。その状況を踏まえながら、公共下水道プランの改定の中で費用の平準化などの下水道ストックへの投資・財政計画を立てるとともに、下水道使用料の適正な水準についても検討していく必要があります。