経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」,「⑤経費回収率」については、平成26年度の新会計基準の適用に加え,平成27年度に下水道使用料の増額改定を行ったことから改善した。「③流動比率」については,下水道使用料の改定や企業債償還金の減少傾向により,保有資金が増加しているために改善しているが,短期的な債務への支払能力が確実に担保されるよう,適切な資金を確保していく必要がある。「④企業債残高対事業規模比率」は,平均を大きく下回っているものの,老朽化した管路の更新に多額の事業費を要することが見込まれるため,今後迎える更新時期の前に企業債残高を抑制し,備える必要がある。「⑥汚水処理原価」は昨年度に比べ減少しているが,今後は管路の老朽化による修繕費などの増加により,指標の増加が見込まれる。「⑧水洗化率」は,かなり高い水準となっている。現在整備を進めている区域においても確実に下水道へ接続するよう促進していく。
老朽化の状況について
下水道管渠の法定耐用年数は50年であり,本市では昭和43年に布設された管渠が最も古いため,「①有形固定資産減価償却率」は現状では平均よりも低い水準であり,「②管渠老朽化率」は0となっている。しかし,昭和50年代を中心に一斉に整備された管渠が多いため,今後,これらの指標の急激な上昇が見込まれる。現在,下水道管渠は更新ではなく維持補修により機能を保持しているため,更新の規模は小さく「③管渠改善率」は低くなっている。
全体総括
平成23年度以降,下水道使用料収入の減少と維持管理費の増加により経営状況は悪化していたが,平成27年度の下水道使用料の増額改定による改善が見られた。しかし,今後,施設において布設後50年を迎える下水管が増えるため,更新費用の急激な増加が懸念される。今後,安定的に事業を継続していくため,管路等の施設の将来的な更新需要を的確に把握し長期的な視点から管理を行い,また,下水道使用料についても適宜分析を行っていくなど,本市経営戦略に掲げた目標を確実に達成していく必要がある。