経営の健全性・効率性について
当市の場合,計上収支比率及び経費回収率共に100%を上回っており,現状,適切なバランスを保っている。また,流動比率も100%を確保し,キャッシュフロー上も良好である。しかしながら,汚水処理原価については目安である150円は下回ったもの,全国の平均水準に比べて,高い傾向にある。当市は,下水処理施設を有しておらず,県の流域下水道に接続している。この負担金が,下水道使用料で回収すべき経費の中で大きなウェイトを占めている。さらに,管路施設の老朽化に伴い事後保全的維持管理の対応件数増加も,影響を与えるものと考えられる。費用の自然減が見込めない中で,経常経費の更なる圧縮や業務の効率化を目指しつつ,公共インフラとしての下水道を適切に維持管理してゆけるように必要な費用は計上するというバランスを求められている。
老朽化の状況について
平成27年度のストックマネジメント導入により,緊急度等に応じた老朽化対策の優先度順位付けが完了した。今後は,ストックマネジメント実施計画に基づき,改築更新時期を分散させ,費用が「ある単年度」に過大に計上されないようにしつつ,持続可能な管渠状態を確保してゆくことを目指す。現在はカメラ調査を行いながら,管渠の実態把握に全力を挙げている。平成31年度より,順次老朽化対策工事に着工する。
全体総括
現状の経営健全度は,キャッシュフローの面も含めて概ね良好である。しかしながら,既存の新設工事に加えて,老朽化の進行等に伴う維持補修対応の増加や,ストックマネジメント計画に基づく計画的な事前予防型維持管理の導入も決定し,費用面では大幅に増加することが見込まれている。これは,「経費回収率」の悪化や,「企業債残高対事業規模比率」の上昇などにつながる要素である。経営戦略に基づく財政見通しをベースとして,厳格な財政運営に努め,健全経営の継続を目指す。