経営の健全性・効率性について
①単年度収支は黒字になっています。しかし、使用料以外に、基準内ではあるものの一般会計負担金に大きく依存しており、今後も、使用料収入の確保及び経費削減に取り組んでいく必要があります。②累積欠損金は発生していません。③100%を大きく下回っており、類似団体と比較しても若干低い数値となっています。法適用移行初年度で、内部留保資金の蓄積もほとんどない状態にあり、企業の支払能力を高めるため、流動資産の確保に努める必要があります。④類似団体と比較して高い数値となっていますが、本市の下水道普及率は46.5%といまだ建設途上にあることから、建設改良のための企業債借入残高の比率が高いことが考えられます。今後も、借入額が返済額を上回ることのないように計画的な建設投資を行っていく必要があります。⑤類似団体に比べ低水準となっていますが、これは、整備途上の本市では接続人口がいまだ多くないこと等が原因と考えられます。⑥類似団体よりも低い数値ですが、今後、施設の老朽化が進んでいくことが予想されるため、維持費抑制や有収水量増加の取り組みを進めることが必要です。⑦汚水処理を行う施設は保有していません。⑧毎年度、供用開始地区が増えているという状況を考えれば、それほど悪い数値ではないと思われますが、他の経営指標向上に密接に関わる比率であるため、今後も接続人口が増加していくよう取り組んでいく必要があります。
老朽化の状況について
①主な施設として、管渠・汚水中継ポンプ場を有しています。供用開始が平成3年度であり、現在は法定耐用年数を経過した資産はない状態ではありますが、類似団体と比べると高い数値となっています。これは、供用開始以前から市内に整備されていた集中浄化槽方式を用いた汚水処理区域のうち、後に公共下水道へ接続替えを行った地域などを中心として、老朽化が進んでいる下水道管も現れてきていることが原因と考えられ、今後は、新規整備と並行して老朽管対策等にも取り組んでいく必要がでてくることから、長期的な投資財政計画を策定し持続的な経営の健全化を進める必要があります。②法定耐用年数を経過した管渠延長はありません。③改善(更新・改良・修繕)管渠延長はありません。
全体総括
本市の公共下水道は、令和元年度末における普及率が40%台にとどまっており、これからも新規整備が続いていきます。また、今後は施設の老朽化も徐々に進行していくことから、更新・修繕といった対応も同時に必要となってきます。このため、整備財源の確保には今まで以上に努めていかなければならず、補助金の有効活用はもとより、接続人口増加への取り組みや、極度な依存にならない範囲での企業債の活用、また、歳出面では、経費削減に努めた無駄のない予算執行など、バランスを持った事業運営が求められてきます。このような状況に対応するためには、より適切な整備計画を策定していくことが肝要ですが、それを可能にするため、自らの経営状態や資産状況などをより正確に把握し、且つ分析していくことが大切になってきます。