経営の健全性・効率性について
①経常収支比率平成29年度は一般会計繰入金の増加により値は上昇しましたが、赤字経営の状態が続いています。改善に向け、上下水道事業運営審議会で今後の下水道使用料のあり方を審議いただき、平成30年4月に下水道使用料を改定することになりました。なお一層の効率的かつ効果的な事業運営に努めるとともに、収益の向上に取り組む必要があります。②累積欠損比率一般会計からの繰入金の減額を受け、未処理欠損金が発生した。引き続き欠損金の解消に向けて取り組む必要があります。③流動比率値は130%弱で推移しており、支払能力に支障はないと考えます。平成26年度以降の値が大幅に減少していますが、これは地方公営企業会計基準の見直しに伴い、1年以内に償還する企業債を流動負債に計上しているためです。④企業債残高対事業規模比率未整備地区への汚水管布設などによる建設改良費の増大に伴い、企業債を借り入れたため値が上昇に転じ、類似団体平均を超える状況となっています。計画的な建設改良事業に努めるとともに、後年度負担が過大にならないよう資金バランスを考慮しつつ企業債を活用する必要があります。⑤経費回収率・⑥汚水処理原価平成25年度の下水道使用料改定は経費回収率の目標を80%と設定したため、一般会計繰入金を前提とした経営状態となっていました。使用料の適正化に向けて、平成30年4月に経費回収率95.93%で使用料を改定することとなりました。今後もなお一層の自助努力により経営の健全化に向けた取り組みが必要です。あわせて、一般会計より繰り入れられた基準外繰入れの削減に努める必要があります。⑦水洗化率接続率100%に向けて、引き続き水洗化の促進活動に取り組む必要があります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率平成25年度に地方公営企業法を全適用する際に保有資産を再評価した結果、減価償却費が財務諸表上にほとんど表れていないため、値は平均値を下回っている状況です。②管渠老朽化率直ちに対策を講じなければならない状況ではないものの、施設の点検・検査により現状の把握に努め、施設の延命化などの効率的な運営に努める必要があります。③管渠改善率管路老朽率が増加傾向にあることから、将来に向けて計画的な更新が求められます。
全体総括
支払能力は確保されているものの、経常収支は赤字となり、累積欠損が発生しました。また、経費回収率は100%を下回り、一般会計からの繰入金に依存した状況が続いております。今後、自立的な経営に向け、新たな自己財源の確保により収益向上を図り、一層の経営改善に取り組む必要があると考えます。施設老朽化などに伴う費用の急増に備えるため経営戦略に基づき、費用の平準化や、資本費の抑制のための建設投資の効率化に取り組む必要があります。また、今後の施設更新に対する財源の確保が課題であると考えます。