経営の健全性・効率性について
①公共下水道事業は、供用開始から10年とまだ日が浅く、水洗化率も徐々に伸びてはいるものの50%弱と低い水準にある。また、企業債残高は減少傾向にあるが、単年度収支は赤字で収益的収支比率が100%を大きく割り込み50%前後で推移している。これは、企業債規模の大きさによる償還額の増加と経費回収率の低さが収支圧迫の要因となっている。②経費回収率は、水洗化率の向上に伴う使用料収入の増加により改善傾向にある。これにより汚水処理原価も減少傾向にあるが、類似団体と比較するとまだまだ高い水準にあり、投資効率(水洗化率)の低さと企業債規模の大きさが主因となり、経費回収率の低迷と汚水処理原価の高水準に繋がっている。③終末処理場は流域管理となっており、その経費は維持管理負担金として支出している。④収支改善を図るためには、適正な使用料収入の確保と施設効率の改善が必要となるが、下水道使用料は全国的にみても高水準にあり、これ以上の負担を受益者に求めることは厳しい現状にあるため、水洗化率の向上に努め、運営体制や今後の投資の在り方を見直す必要がある。
老朽化の状況について
管路施設は、供用開始から10年とまだ日が浅く、老朽化対策等は行っていない。管渠改善率における平成26年度の更新投資は、老朽化に伴うものではなく東日本大震災に起因する管渠の布設替経費である。
全体総括
下水道の整備計画は、平成39年度を完了年度としており、企業債の償還期限も長期にわたることが予想される。経営環境が厳しさを増す中で、計画的な経営基盤の強化と財政マネジメントの向上が求められるため、公営企業会計への移行とともに経営戦略(ダウンサイジングやストックマネジメント等による投資・財政計画)を策定し、経営の効率化と健全化を図る必要がある。