経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、平成30年1月1日に実施した使用料改定以降、100%を上回る水準で推移している。また、経費回収率も、使用料改定及び汚水処理原価の改善により、今年度は100%を上回った。汚水処理原価は、令和元年度は改善傾向にある。ただし類似団体平均値に比べると高い水準で推移しており、今後も引き続き、維持管理費低減のための検討を進めていく予定である。企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値を若干上回っているが、企業債残高が減少していることから、今後は数値の改善が見込まれる。※④「当該値」欄のR01年度数値に誤りがありましたので訂正します。【正1,050.15誤2,201.45】水洗化率は、ほぼ同程度で推移しているが、引き続き下水道未接続家屋を対象に水洗化を促すなど、更なる水洗化率の向上に努める必要がある。流動比率は、類似団体平均値に比べて低いものの、流動負債の大部分は企業債であり、企業債を除けば100%を超えていることから一概に短期的な債務に比して支払能力が不足しているとは言えないものと考える。施設利用率は、類似団体平均値を上回る状況にある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、年々高くなっており、今年度は類似団体平均値をわずかに上回った。当市の事業開始は昭和57年度と比較的遅いものの、施設の老朽化が徐々に進んでいることを示している。※①「当該値」欄のH30年度数値に誤りがありましたので訂正します。【正14.90誤21.22】なお、管渠老朽化率の数値はゼロとなっている。年数の経過とともに、管渠の老朽化は進み、更新需要も本格化するものと予想されることから、更新への備えも含めて、今後も使用料の水準を適宜検証していくことなどが重要である。管渠改善率は、その年度の改築延長を管渠の総延長で除した数値であり、投資額の適切性とこれによる更新ペースを測るために用いられるが、当市の場合には、本格的な更新時期にはまだ間があるため、一概にこの数値をもって投資額の適切性を測ることはできない。
全体総括
使用料改定により、経常収支比率及び経費回収率はいずれも100%を上回ることとなった。汚水処理原価は、平成30年度を除き概ね改善傾向にあるが、類似団体平均値に比べると高い状態が続いており、引き続き維持管理費の低減に向けて取組を進めていく必要がある。また、資産の状況を見ると、事業開始が比較的遅いため、管渠老朽化率は低く、更新需要が本格化するまでには若干の時間的猶予があるものの、将来の更新期も見据えながら、使用料の水準を適宜検証するなど、中長期的な視点に立って、更新投資を賄うための財源のあり方を検討する必要がある。