愛媛県西予市：市立野村病院の経営状況（2020年度）

地域において担っている役割

当市は、海岸部から四国カルストの高地までの広大な面積を有し、市内全域に集落が点在していることから、西予市民病院・野村病院の2病院を運営することにより、24時間365日の二次救急医療（輪番制）を行っている。市内に他の二次救急病院が存在しないため、救急医療において、当院及び西予市民病院の担う役割は大きい。また、県のへき地医療拠点病院の指定を受け、近隣市町の診療所に医師の派遣を行うほか、大規模災害時には医療拠点としての役割も期待される。

経常収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	103.3	100.7	95.1	90.5	97.2	92.1	102.2	100.0	97.1
類似団体内平均値（％）	97.1	96.3	96.9	98.3	96.7	96.6	97.5	97.7	100.7

医業収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	102.2	98.9	91.8	87.2	92.1	85.4	86.0	83.5	78.9
類似団体内平均値（％）	87.7	86.6	85.4	85.3	84.2	83.9	77.0	77.1	73.8

修正医業収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）							83.8	81.1	76.5
類似団体内平均値（％）							73.2	73.2	69.9

累積欠損金比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0
類似団体内平均値（％）	92.4	95.4	84.4	85.2	87.1	88.4	82.8	84.8	90.5

病床利用率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	76.6	77.8	72.4	70.9	76.1	72.2	84.5	79.9	77.7
類似団体内平均値（％）	69.0	68.5	68.3	67.9	69.8	69.7	67.2	66.1	62.3

入院患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（円）	28721.0	29245.0	29865.0	29371.0	29907.0	29796.0	31969.0	33030.0	32052.0
類似団体内平均値（円）	31025.0	31577.0	32431.0	32690.0	33491.0	34136.0	25597.0	26415.0	27227.0

外来患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（円）	5235.0	5405.0	5694.0	5882.0	6360.0	6920.0	7698.0	8476.0	8667.0
類似団体内平均値（円）	9176.0	9437.0	9726.0	10037.0	9976.0	10127.0	9034.0	9135.0	9509.0

職員給与費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	64.7	61.1	66.6	63.3	59.2	62.6	64.2	65.1	72.5
類似団体内平均値（％）	61.2	61.8	62.9	63.3	64.2	64.2	71.6	72.5	78.5

材料費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	14.9	15.2	14.8	14.5	13.9	14.9	14.5	17.1	15.6
類似団体内平均値（％）	19.4	19.5	19.2	19.2	18.9	18.6	16.6	16.1	15.8

経営の健全性・効率性について

【①経常収支比率・②医業収支比率】経常収支比率は97.1％となり平均値を3.6％下回っている。医業収支比率は平均値を5.1％上回っているが、今後も圏域内人口の減少が続くと見込まれる中、更なる収益確保対策が必要である。【③累積欠損金比率】該当数値なし【④病床利用率】平均値を15.4％上回っているが前年比は2.2％下回っているため、より利用率向上に努める。【⑤入院収益単価・⑥外来収益単価】入院収益は平均値を4,825円上回っているが前年比978円の減。外来収益は平均値を842円下回ったが、前年比191円増となり経年比較でも上昇している。診療加算の取得等により、引き続き単価上昇に努めたい。【⑦職員給与費対医業収益比率】平均値を下回っているものの、経年比較では増加傾向にある。適切な施設基準の取得等、収益確保にも努める。【⑧材料費対医業収益比率】昨年度より改善し平均値と同水準となった、今後も改善に努める。

有形固定資産減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	60.6	60.1	55.3	58.2	58.6	60.9	64.5	68.1	68.3
類似団体内平均値（％）	48.3	48.0	52.2	52.4	52.5	53.5	56.1	56.4	56.9

器械備品減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	78.5	75.9	66.4	68.9	64.2	65.3	70.5	75.7	70.3
類似団体内平均値（％）	64.3	63.3	69.6	69.2	69.7	71.3	73.2	73.4	72.5

１床当たり有形固定資産

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（円）	26481583.0	26265725.0	31041044.0	31174123.0	32673385.0	33212532.0	41597284.0	41917841.0	39858136.0
類似団体内平均値（円）	33533100.0	34139294.0	35115689.0	35730958.0	37752628.0	39094598.0	38744035.0	40117620.0	42330999.0

老朽化の状況について

【①有形固定資産減価償却率】平均値を若干超える水準で推移してる、経年比較でも数値が上昇しており平均値を11.4％上回っている。施設の老朽化傾向を示しているため、より適切な更新計画が必要である。【②器械備品減価償却率】前年比5.4％の減少となり、平均値を2.2％下回っている。医療ｼｽﾃﾑ更新等の影響が大きく、今後も適切かつ計画的な更新に努めたい。【③１床当たり有形固定資産】前年比では減少しており、平均値も下回っているが、今後の減価償却費が医業収支比率・経常収支比率に及ぼす影響は大きく、老朽化対策を含めて慎重な投資計画が必要となる。

全体総括

圏域内人口の減少に伴い、経年で見ると患者数は減少傾向が続いている。コロナ禍による通院控えの影響も考えられるが、医業収益が減少、医業外収益は前年比で微増したものの、経常収支比率は2.9％下回っている状況である。当院においても看護師等の医療スタッフの不足は慢性化しており、更なる収益確保のためにも、医療提供体制に応じた医療スタッフの確保が喫緊の課題である。H28年より奨学資金制度を創設しており、医療スタッフの確保に繋げたい。へき地医療、救急医療、災害医療等の地域における役割を継続的に担うためにも、収益の増加を図るとともに、新病院改革プランに基づき、西予市民病院・野村病院の機能分担を着実に進めていく必要がある。