経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率平成30年度は、西日本豪雨災害による断水のため総収益が減少し、本比率の値が前年度から減少した。依然として100%を下回っており、単年度の赤字を生じている。引き続き有収水量増への取組みや、処理場の維持管理業務の包括的委託による経常的経費の減への取組みを推進していく必要がある。④企業債残高対事業規模比率平成30年度も引き続き面的整備事業やポンプ場の建設工事、処理場の増設事業を進めており、今後も下水道固定資産のストックマネジメントによる修繕改築が生じるため企業債残高の減少は見込めない。ただし、企業債現在高の大部分を公費負担分が占めているため、本比率は類似団体の平均値を下回る値となっている。⑤経費回収率平成30年度は前年度に比べ、西日本豪雨災害による断水の影響で料金収入が減少したことにより、率が減少した。今後は、平成29年度水準に回復する見込みである。⑥汚水処理原価平成30年度は西日本豪雨災害により断水が発生したため、総じて数値が増加した。引き続き、有収水量増への取組みや、処理場の維持管理業務の包括的委託による維持管理費減ヘの取組みを推進していく必要がある。⑦施設利用率浄化センター水処理施設増設工事の完了により処理能力が増加したため、平成28年度から、本指標の値は減少に転じた。なお、平成30年度の一日最大処理水量による施設利用率は62.4%である。⑧水洗化率平成30年度は接続増加が330人とのびたが、区域内人口も500人増加し、結果前年度より率が減少した。使用料料金の増加という観点からも、今後も普及促進に努めていく必要がある。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は、平成元年度に供用を開始し、順次管渠整備を進めている。現時点では管渠は更新期に達しておらず、本比率は低い値となっているが、将来の更新を見据え、令和2年度に管路施設ストックマネジメント実施計画(修繕・改築計画)を策定予定である。処理場は、平成30年度に再構築基本計画(ストックマネジメント計画)に着手しており、令和2年度に実施計画(修繕・改築計画)を策定予定である。
全体総括
本市の公共下水道事業は、供用開始から30年が経過している。引き続き水洗化人口及び有収水量の増を目指し経営の効率化を進めるとともに、ストックマネジメント計画に基づいた効率的な施設更新に取り組む必要がある。平成28年度には「尾道市公共下水道事業経営戦略」(計画期間:平成29年度~令和8年度)を策定し、将来を見据えた事業運営の方針を明確化している。また、財政状況を明らかにし経営基盤の強化を図るため、令和元年度から地方公営企業法を全部適用している。