経営の健全性・効率性について
当事業は、一般会計からの繰入れや長期前受金戻入など、使用料以外の収入を前提とし、さらに、公共下水道等他の事業と一体で経営しなければ、健全性が保てない状況である。①経常収支比率が100%を下回っている。総収益のうち下水道使用料の占める割合は44%であり、一般会計からの繰入金など使用料以外の収入を含めても費用が賄えない状況である。また、②累積欠損金については、他事業も含めた会計全体での欠損金が生じないよう、今後は、更なる経費削減を検討する必要がある。③流動比率は、20%未満と低い値であるが、これは流動負債に建設改良等に充てた企業債を含んでいることも影響している。その財源は次年度の使用料(一体で経営する他事業分も含む)や一般会計からの繰入金による収入を予定している。④企業債残高対事業規模比率は、H30年度は比率が上昇している。これは下水道使用料の減収が影響している。⑤経費回収率・⑥汚水処理原価は、減価償却費や支払利息等の費用のうち、一般会計からの繰入金などで賄った費用を除いて算定したものである。また、使用料で回収すべき経費が賄えていない状況であるが、他事業と一体で経営するとともに、今後は、更なる経費削減を検討する必要がある。⑦施設利用率が低いが、その要因は浄化槽の人槽規模に対し1戸当たりの人数が少ないこと等が考えられる。⑧水洗化率は100%である。
老朽化の状況について
平成30年度末に公設浄化槽事業は終了しているが、平成30年度内に建設が完了しなかった施設については、平成31年度まで建設事業は継続する。それまで、償却資産(浄化槽)は、今後も若干の増加が見込まれる。現在、法定耐用年数に達するものはなく、今後当分の間は更新事業は発生しない予定である。①有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較してほぼ同水準となっており、年々上昇している。また、今後も上昇するものと見込んでいる。施設は各戸に設置する浄化槽のみで、管渠は有していない。
全体総括
当市では平成30年度に、従来上下水道で別個に定めていた事業経営戦略プランを統合し、「上下水道事業の効果的な連動による健全な水循環の実現と地域防災力の向上」を主旨とする「第1次松江市上下水道事業経営計画」を策定した。今後は、この計画に基づき、公共下水道のほか、集落排水や公設浄化槽も含めた下水道事業全体で、収益確保・費用縮減と人材の育成による経営基盤の整備、建設改良等による下水道資産の維持運用に努める。【経営基盤の整備】未接続世帯に対する接続勧奨の強化と、地形的要因や私道等の権利関係により接続ができない地域に対する接続促進(公共桝設置、管路整備)を一体的に取組み、接続件数増加による収益の確保を図る。今後の処理水量予測と施設能力等を勘案し、農業集落排水の公共下水道への接続などにより、施設の統廃合を進め維持管理費用の縮減を図る。【老朽化対策】各施設の設備機器の更新計画、長寿命化計画を策定し、オーバーホール等の適切な実施により使用限界年数の延長を図るとともに、順次老朽化した設備機器の改修を進める。