経営の健全性・効率性について
現在、本市の経費回収率は100%を超えており、下水道使用料で汚水処理に係る費用を賄えている。また、雨水事業等を含めた経常収支についても黒字を維持している。しかし、これまでに下水道施設を建設するために借りた企業債の償還や管渠の老朽化に伴う維持修繕費や改築更新事業投資が増加しており、資金面では厳しい状況となっている。本市は淀川や大和川よりも低い低平地となっており、降った雨をポンプ等により強制的に河川に排水しなければならない「内水域」であるため、雨水事業に係る支出が多額となっている。一方、雨水事業に係る財源は一般会計の負担であるが、国及び市財政の厳しい状況のなか、雨水に係る経費は削減されており、厳しい財政状況となっている。なお、流動比率がH25~H26で大きく減少しているのは、平成26年度から新会計制度となり、翌年度に支払う予定の企業債の償還額が算定式に加わったためである。また、施設利用率の当該値がないのは、汚水処理を大阪府流域下水道及び大阪市に委託をしていることから、本市独自の処理場を所有していないためである
老朽化の状況について
本市は昭和24年より事業着手しており、法定耐用年数の50年を超える管渠が増えてきている。近年では「下水道総合地震対策計画」による下水道管の改築更新事業への取り組みにより、管渠改善率は上昇している。さらに平成30年度までに管渠の適切な維持管理を目的としたストックマネジメントの策定を予定しており、更なる老朽化対策への取り組みを進めている。
全体総括
前年と同様に経常収支比率、経費回収率が共に100%を超えているが、人口減少、節水意識の高まり、景気の冷え込みによる使用水量の減少により、今後の下水道使用料収入は減少傾向であるため、それに伴い経常収支比率は減少する見込みである。一方で下水道事業は「生活環境の改善(汚水の排除)」、「浸水の防除(雨水の排除)」、「公共用水域(河川・湖沼・海域等)の水質の保全」という収入に関わらず担うべき役割があり、特に本市の場合、約84%が淀川・大和川よりも低い地域であり、これまでも度々浸水被害が発生している。浸水被害軽減に向けて雨水増補管計画を策定し、平成28年度末で約90%の進捗率となっており、引き続きこれらの役割を担うため、限られた財源の中でより一層の経営の効率化を進める必要がある。その取り組みの一環として経営戦略を平成32年度までに作成予定としている。