経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業は、市の重要施策として位置付け、供用開始から約20年余りの比較的短期間で急速に整備拡大を図ってきたことにより、企業債の借入が多く、「④企業債残高対事業規模比率」は類似団体平均値を上回っています。これに伴う地方債償還額が大きいことや、流域下水道維持管理負担金が年々増加する傾向にあることにより、「⑥汚水処理原価」も類似団体平均値を上回っています。平成19年度に下水道事業健全化計画を策定し39.9%の使用料改定を、また平成23年度に22%の使用料改定を実施してきたものの、必要な汚水処理費全てを使用料で賄うまでには至らず、「⑤経費回収率」は平成30年度で68.26%となっており、当年度が打切り決算ということもありますが、類似団体平均値を大きく下回り、非常に厳しい経営状況となっています。整備普及率は平成30年度末で97.92%となりましたが、「⑧水洗化率」は91.24%と低く、水洗化促進のため水洗便所改造助成、融資あっ旋等の制度の見直しや再任用職員による啓発活動等を実施しています。なお、「⑦施設利用率」については、単独処理場を設置していないため、当該値を計上しておりません。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、昭和45年から流域関連公共下水道として下水道整備に着手し、昭和60年度より供用開始しました。現在のところ法定耐用年数50年を経過した管渠はありません。
全体総括
近年の節水意識の向上や節水機器の普及により使用料収入は伸び悩んでおり、依然として一般会計繰入金に依存した経営となっています。将来にわたり持続的・安定的に下水道事業を進めていくためには、実質収支の不足を早期に解消するとともに、健全な経営の実現が不可欠です。今後、施設更新の時代を迎えるにあたって、令和元年度よりストックマネジメント計画策定に着手し、効率的で効果的な施設の維持管理を進めています。また適正な使用料の設定、水洗化促進による収入確保等に取り組んでいく必要があります。令和元年度から地方公営企業法を適用するとともに、令和2年度には経営戦略を策定し、下水道事業における財政状況の把握及び持続可能な経営に必要な施策を検討していきます。