経営の健全性・効率性について
令和2年度と比較して、③流動比率は手元資金の増加及び企業債の減少により、8.24ポイント増加し、④企業債残高対事業規模比率は企業債の減少により、37.53ポイント改善した。しかしながら、類似団体平均値と比較すると、依然として、③流動比率は低く、④企業債残高対事業規模比率はやや高い。また、令和2年度と比較して、⑤経費回収率は0.79ポイント増加し、⑥汚水処理原価は1.22円減少しており、経営の効率性はわずかに向上している。なお、④企業債残高対事業規模比率が高いのは、本市の下水道整備のピークが昭和60年頃で類似団体よりも遅く、当時の企業債の残債が残っている事が原因である。また、③流動比率が低いのは、前述の企業債の残高が相応にあり、流動負債に含まれる企業債の金額が流動資産を超えているためである。⑥汚水処理原価が減少しているのは、企業債残高の減少により、汚水処理にかかる支払利息も減少しているためであり、これに連動して⑤経費回収率は徐々に改善している。
老朽化の状況について
令和2年度と比較して、①有形固定資産減価償却率は2.96ポイント増加し、②管渠老朽化率は耐用年数を超えた管渠の増加により1.62ポイント増加した。類似団体平均値と比較すると①有形固定資産減価償却率、②管渠老朽化率は令和2年度と同様に低い。①有形固定資産償却率が低いのは、本市の法適用が平成28年度と経過年数が浅く、既に法適用していた類似団体と比較して決算書上償却が進んでいないためである。また、②管渠老朽化率が低いのは、本市の公共下水道整備のピークが昭和60年頃であり、類似団体よりも遅いためである。③管渠改善率は平成30年度より「高槻市下水道施設ストックマネジメント計画」に基づき、管路施設の巡視点検やマンホール蓋の更新工事を実施する等施設の長寿命化対策を行っていることにより、増加している。
全体総括
類似団体平均値よりも高い④企業債残高対事業規模比率については、企業債残高が年々減少することにより、改善している。汚水に係る下水道整備は概成を迎えているが、下水道施設の老朽化対策や災害リスクなどに伴う事業費の増大が見込まれる。その一方で、人口減少や節水意識の高まり等により使用料収入は減少傾向にある。このような厳しい経営環境をふまえ、経営計画の中間見直しを行い、令和3年度に「高槻市下水道等事業経営計画【改訂版】」を作成した。また、事業の面では「高槻市下水道施設ストックマネジメント計画」(平成30年度より開始)に基づき、引き続き、予防保全型の維持管理や施設の長寿命化対策を行うことでコストの縮減を図っていく。