経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率については、供用開始区域の拡大により、使用料収入が増収し、総収益は増加したものの、企業債の借入方式を見直したため、当該年度の償還金が増加したことで前年度よりやや減少した。今後も同程度の比率で推移していく見込みである。④企業債残高対事業規模比率については、事業規模の拡大に伴い収益が増加したが、前年度からの繰越事業が多く、単年度の借入れ金額が前年度よりも増加したことで企業債現在高合計が増加し、相対的に比率が上昇している。⑤経費回収率については、平成25年10月の料金改定に伴い料金収入が増加したことと、処理場の維持管理に包括的民間委託、長期継続契約などを採用したことによって、経費が削減されたことで比率が上昇し、類似団体の平均程度となっている。⑥汚水処理原価については、概ね150円程度で推移しているが、類似団体平均値より低くなっている。⑦施設利用率については、類似団体平均と同程度の利用率であるが、今後も管渠整備を継続し、供用開始区域拡大するため、改善される見込みである。⑧水洗化率については、供用開始地区を拡大している中でも類似団体平均値と遜色ない数値となっている。前年度より減少したが、供用開始区域内人口の増加率が前年度よりも高いため、相対的に減少したものである。
老朽化の状況について
③管渠改善率は0%となっている。供用開始地区の拡大に建設費の財源を集中的に配分しており、管渠の修繕は応急的なものに留まっている状態であるが、供用開始より30年を経過する箇所もあることから、今後、老朽化対策を講じる必要がある。
全体総括
下水道使用料については、整備区域の拡大に合わせて増加することに加え、大型商業施設の開業により上乗せが見込め、経費回収率の改善にプラス要素となる見込みである一方で、施設の老朽化による更新や長寿命化工事などに着手する必要もあり、それらの費用が増大するものと想定される。そのため、平成30年度から策定に着手する予定のストックマネジメントに関する計画については、経営の観点からも計画の実行性、有効性を判断する必要がある。また、経営成績や財政状態などの経営状況を的確に把握する必要があることから、平成32年度より公営企業法を適用し、2020年度(平成32年度)までに経営戦略の策定を予定しており、経営戦略の中で、収入源である使用料の適正水準について検討する予定である。